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05
 


 多貴にテーブルを拭く布巾と瀬戸に二階に持っていってたコップたちを任せると、感心したような声が聞こえる。



「役割が決まってるんすね」
「すごーい、嫁と旦那が見事に別れるとは」
「いや桜井ちゃんなんの話?」
「失礼、こっちの話」



 何か手伝うよと言ってくれた二人には申し訳ないが、まあ初めての客人みたいなものだし、ソファでゆっくりしてて、と言ったが手持ち無沙汰だと返された。



「えー、じゃあ出来たやつテーブルに運んでくんない?」
「おっけー」
「おっけーっす」



 なにこいつら可愛い。
 似た表情で左右の手がオッケーを作って持ち上がるそれを見てまた癒された。



 フライパンでパスタと茸や人参、玉ねぎなどを一緒に茹でて、パスタは少し硬めにコンソメとトマト缶をぶっこみ、ケチャップ、胡椒を少し、あと色々ぶっこんで汁気が少なくなるまで詰めて。
 横では伊織は温野菜サラダを作ってる。急に寒くなってきたからなあ。
 ちなみにドレッシングも手作りだ。あとでレシピ教えてもらおう。
 ついでにスープを作ってと。



「森くん桜井さん、これお願い」
「「はーい」」



 まるで母親のようではないか伊織よ。

 パスタを詰めている間に、テーブルを拭いた布巾を多貴からもらって洗い、近くに居た瀬戸にバトンタッチ。
 人数分の皿に、出来たパスタを盛り付けて、スープをよそい、盆に乗せて四人が順に持っていく。
 空いたフライパンや鍋は伊織が流れるように持っていって洗ってくれた。さすが。



「うっわあ、美味しそー!さすが嫁組」
「仁科と望月マジで料理上手っすね」
「さすがオレのハニー」



 それぞれ座ってから、揃って手を合わせて「いただきます」をしてから、何故か揃ってスープを飲んだ。仲良しか。あ、仲良くなってるわ。



「うまー。あったまる」
「はー…勉強疲れ飛ぶっすね」
「うーまーいー」
「美味しいね」
「うま」



 それぞれに感想をいただき、ちょっと照れ臭くなりつつも瀬戸の小声が聞こえてかなり嬉しいと思ってしまった。単純過ぎる。





 勉強会はとりあえず順調に進んだ。途中で勉強にならなくなったものの、人数が増えて、楽しくて、何だかんだありつつも苦にならないものだった。
 みんなでご飯食べてから少し喋って気付けば夜の8時を回っていた。楽しい時間は早いなあ、と思いながら帰っていく五人を見送って息を吐いた。

 もうすぐ12月だ。


 


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