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02
 


 深く深ーく溜め息を吐き、どうあってもいらっしゃる気はないらしい暴君にはそろそろマジで説教受けるべきだと思いながら立ち上がる。
 いまの放送で、Aクラスにいる生徒皆さんからの注目度が最高値に達している。解せない。マジで打ちのめしてやりたい。



「とりあえず行ってくる。昼休み潰れる気がするから向こうで食うわ」
「一緒に行くよ」



 と蒼司は言ったが。会長となると話がややこしくなりそうなので立ち会わせるわけにはいかず、腰を浮かせたタレ目を制して、弁当巾着を鷲掴んだ。
 因みに瀬戸も立ち上がったが、無言の圧力を掛けて大人しくしてもらった。



「気を付けてね」
「いってらー」
「ご武運を…!」
「いやちょっと違うっすよ」



 うん、桜井ちゃん、惜しい。
 ある意味での戦いがまず成立するかどうかはさておき。

 じゃ、と手を上げて注目されながら足早に生徒会室に向かった。
 とりあえず、着いたら一発言葉の暴力を放とう。







 *






 はい、生徒会室前に到着。
 厳粛なる生徒会室の扉、と言われているらしいが俺にとってはひたすらに腹立たしくなる扉である。

 一応ね、腹立たしくても礼儀として三回ノックして、入室許可が下りたので無駄に重たい扉を押して中に入る。



「遅い」
「根性ナシ」
「……」
「……」



 入って真向かいの奥、堂々と会長用デスク前に座る会長が視界に入った瞬間に交わされた第一声、俺の勝ちである。
 そもそも遅いと言われる筋合いはない。
 用があるなら自らが出向く。
 まあ会長の場合、蒼司と顔を合わせ辛いから呼んだんだろうけどな。電話に出ないからってわざわざ放送までさせて、まったく迷惑なヤツだ。


 扉を背に第一声を放ち、いい加減腹が減ったので左側にある応接用のソファに腰かけた。
 会長は無言なので、わざわざこっちから声は掛けない。当たり前だ、俺には用がない。

 テーブルに巾着を置いて開き、さくさくと食事の用意を進める。箸を持つ。手を合わせる。



「いただきます」
「何してる」



 おかずをつまんで口に入れようとした時にこれである。
 仏の顔も三度までである。



「見て分かんねぇ?会長なのに聞かないと理解できないんですかね、会長なのに」
「メシ食おうとしてるのは分かる。あと二回も言うな」
「じゃあ聞くな」
「何でここで食おうとしてる」
「誰かさんに邪魔されたから。確実に昼休み潰れるから。腹が減ったから」
「……」



 最近まったく蒼司に会っていないっぽい会長のなんと弱々しいことか。
 尤もな事を言われて返せないとは。
 いつだかの会長は関係なく言い返してきたのにな。



「で?早く要件済ませて貰いたいんすけど」



 すると会長は不貞腐れたように眉を寄せた。
 まったく。瀬戸が旨そうにご飯を食べてる姿を見るのが最近癖になってきてたのに、取り上げられて不貞腐れたいのはこっちだっつの。
 卵焼きを食べながら見返すと、会長は溜め息をはいていた。ぶん殴りたくなった。



 


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