03
「それ、その瀬戸ってヤツにも聞かれたんすよ。その屋上で」
「で?」
ちょ、なんでそんな興味津々なんですか。よく分からないままとりあえず説明する。
「いや、瀬戸にも言ったんすけど、俺はチームにも入ってないし、不良なわけでもないんすよ」
「まあ、確かに真面目だしねー」
「どうも」
にっこり笑った睦月さんに笑顔を返すと、さっきまで乗り出してきていた泉さんが突然一瞬唸って睦月さんを睨んだが、睦月さんは無視。泉さんへの対応が結構冷たい。
まあいいか、と屋上の件から瀬戸が絡んでくることを話した。
「気になってるんかね?」
「親友が言うには、俺の喧嘩の仕方が独特だからじゃないかって」
「へえー」
「姉妹校の先輩なんすけど、同じ甘党で、中学ん時から仲良くしてもらってるんすよ」
ちなみに今度一緒にスイーツバイキング行く約束をしてる。楽しみだなー。
ふと睦月さんは少し考えるような顔をしたが、それはほんの一瞬だったから気にしないことにした。
「それから色々あって、今じゃよく話しするし家でメシ食ったりしてんすけど」
「つまり仲良くなったわけね。和解してよかったじゃん」
仲良くか。とりあえずそれにはそうっすね、と返した。
ぶっちゃけそっからが本題なんだ。
「それからが問題で」
ふ、と一息ついて紅茶を飲む。
よし。
「最近、俺、学校で気付いたら瀬戸の事見てたり、目で追ってたりしてんすよ。瀬戸は俺の後ろの席で、親友が俺の前と右隣の席なんで、俺いつも横向いて話してんすけど」
「…………」
「…………」
なんだか居たたまれなくて紅茶を見つめながら、投げやりみたいだけどちょっと早口で言い切った。
「なんつーか、気付いたら瀬戸の事考えてたり。あいつ、よく手を触ってきたり後ろから抱き着いてきたりするんすけど、その時すごいドキドキするんすよ」
「………」
「………」
後ろからっつか前からのが多いのか?今日は特に手を触られた。
あの時の焦り方変に思われたかな。
「なんなんすかね、これ。男に対してこれって変っすよね?」
ぱっと顔を上げると、睦月さんはいつもと変わらない柔らかい表情。
でもやっぱり不安は不安だ。
「……いや、」
「諒くん、」
泉さんがさきに声を出したけど睦月さんに遮られ、じっと俺と目をあわせてから睦月さんは口を開いた。
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