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02
 


「そうだん?」
「はい」


 頭上で聞こえてきた声に答えながらも、出してくれた紅茶が揺れるコップを見つめる。
 勢いで来ちゃったけど、今更凄く話し辛くなってきた。
 俺が睦月さんに話そうとしてるのは一般的な相談じゃなくて、相手は同性のこと。いくらこの店の中で睦月さんが美形に囲まれて剰えスキンシップや会話を聞いてきてかなり可愛がられていると考えても、やっぱりこういう話は難しい。
 でも来てしまったのだから、ここは腹をくくるしかない。

 ちらと向かいにいる睦月さんを見ると、疑問符を浮かべるような表情で首をかしげてた。



「あの、引かないでほしいんすけど」
「滅多な事じゃ引かないよ?」
「……」


 確かに、確かに睦月さんならそんな感じがするんだけど。
 これが睦月さんにとって滅多な事かどうかなんて俺には分からない。

 ……ッええい面倒くせえ!言ってしまえ!



「…二年に上がってから少しずつ絡むようになったクラスメートがいるんすけど」
「ふむ」


 とりあえずいきなりだとワケ分からんから、出会いから簡単に説明する。



「最初は向こうが、俺に纏わり付いてくるというかなんつーか、絡んで来る感じで」
「うん」



 瀬戸との出会いは二年の始業式から数日後、数名の男の先輩に屋上に呼び出された事から始まったんだ。
 とりあえずなんで呼び出されたかは言わなかった。色々脱線しそうだから。

 その屋上に瀬戸がいて、瀬戸は外見から不良で、授業もよくサボるとか喧嘩も強く怖面だから近寄るヤツもいない、なんて噂が付きまとうそんなヤツが、屋上に呼び出し喰らった俺を見ていた。
 懐かしいな。


「……その先輩倒した後に、そいつがタンクみたいな場所から下りてきて、なんか変な言いが掛かりってか逆ギレされて、」
「……ちょ、ちょいまち聞いてもよい?」
「はい?」



 急に睦月さんは両手を前に、タイムの仕草をした。
 なんだろうと思っていると睦月さんは「倒したの?」と意外そうな目で言った。
 それに頷く。



「はい。後々柔道部にいる先輩だって聞いたんすけど。六人くらいだった」
「……見た目に反して強いんだ」
「いや、うーん…」



 強いかどうかは分からんが、そこでふと思い出す全体的に甘い空気を纏う先輩。



「俺に喧嘩教えてくれた人がいたんで、それが役に立ったんじゃないっすかね」
「……へえ」
「お前、チームとか入ってんの?」



 感心?したような声を出した睦月さんの隣で、ずっと無言だった金髪をポニーテールにしている美形の泉さんが、突然ぐいっと身を乗り出してきて思わず仰け反った。


 


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