04
…っていうか!
「いつまで触ってんだお前は!」
「あ゛?」
「威嚇すんな!」
ずっと握られていた手を振りほどくと、一瞬にして不機嫌なガッツリ不良顔になった。
さっきまでの穏やかさはどこ行ったよ。
するとそれを見ていた多貴が可笑しそうに言う。
「あーぁ、カワイソーだよ諒ちん」
「なんで!?」
「照れてんのかお前」
「いやちげぇよ!?」
多貴と瀬戸の言葉に思わず突っ込む。
不良顔が今やニヤニヤと笑っている。むかつく。
くそ、三人…いや幸丸と桜井ちゃんまで笑ってやがる。最悪だ、絶対俺の顔赤いよ。
「なー、来週さ、みんなでメシ食わない?」
「なにいきなり。その笑顔なに。企みがある感じする」
超素敵な笑顔で言ってきた多貴はむかつくほど爽やかである。落書きしていい?
女子とかが騒いでますよ色男め。
「企むなんてとんでもないよ」
「え、伊織さん?」
なに言ってんの?
どうしたの今日、みんなして何なの?
ちょっと混乱していると、再び手に圧力が。
「俺も行く」
ぎゅう。
そんな効果音が聞こえてきそうな握り方で、俺の手は瀬戸に捕まった。
びっくりして見ると真顔の瀬戸と目が合う。…え、突っ込み待ち?
真顔とか手とかさ、今日なんなの?突っ込み待ちなの?
というかお前までなに言ってんの?決定事項みたいになってるけど、お前最近強くない?最初の頃の遠慮はどこ消えた。
人の手触るの好きなのか?俺の手にはなんもないよ?
瀬戸の興味範囲が分かりません。
そんなことを思っていると、向かいの伊織が笑った。それはそれは綺麗に。
「もちろん瀬戸君も連れて行くつもりだったけど、誘う手間が省けたね」
「……」
手間って。
なにこれ本当にどうしたの。
え、なにこの軽いカオス。
「はぁぁぁ…たまらん本当萌えるマジでリスペクト昇天する」
「死ぬなよ」
桜井ちゃんと幸丸のそんな会話もやっぱりよく分からなかった。
来週の夕食に二人も誘ったんだけど、用があるらしく二人はまた次の機会になりました。
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