02
「いやー本当に迷ったのさ。ディアラブのルキもイイんだけど制服から制服って微妙だし蘭丸も目付きはぴったりなんだけどコンタクト付けたことないって言うからオッドアイ危ないし難しいし、で、結局軍服ver周防と宗像で迷って、先生がオールバックで雰囲気周防だったから宗像で結局ノンフレームの眼鏡を装備させて黒ストレートロングのウィッグ装着とかしてみた!先生も普段シャツのボタン外してるから違和感ないね!オールバックに軍帽ヤバイロングコートにスリット、赤いパンツに金ベルト!やっぱり先生は周防だよ!Kコンビまじ滾るよ!似合うよ先生、瀬戸くん!」
「……装飾がうざい」
「…同じく」
「二人とも似合ってんじゃないっすか」
「瀬戸くんは眼鏡で目付き緩和だね」
「それ軍服なんだ?似合うじゃーん」
着るのに時間が掛かったらしい瀬戸とまっつんが出てきた瞬間に、その場にいた全員が「おぉ…」と声を漏らした。
桜井ちゃんのマシンガントークにはもはやスルーである。
まっつんはまっつんだって分かるんだけど、ウィッグと眼鏡で瀬戸が変わりすぎて一瞬誰だか分からなかった。
「どしたの、諒ちん?」
「───…え?、いや何でもない」
傍らにいた多貴に覗き込まれて体が跳ねた。
慌てて首を振ると、なぜかニヤリとした多貴が「そっかー」と言いながら前を向いたのを見てほっとする。
瀬戸に見惚れてたなんて言えねぇ…!
「ふふふ、ふははは、あまりのギャップにドキッ!まさか…?なーんて!なーんて!」
「ちょ、叩くな痛いっす」
「そしてモテモテになってるのを見て焼き餅とか!いつものお前のがいいとか言っちゃってそのまま!そのまま!」
「聞けい」
とりあえず桜井ちゃんが暴走してそれに巻き込まれている幸丸、その二人を眺めて落ち着かせることにした。
「───北条君と望月君はねー刀剣寄りのデザインでシンプルに商人と甘味屋風にしてみたの。二人は受付接客ね!」
「伊織めっちゃかわいーんだけど」
「ありがとう。多貴はカッコいいよ」
幼馴染みは言わずもがなよく似合ってる。伊織は実家が実家だから和装が似合うし、いつもの髪型ではない多貴は、襟足垂らして上の部分だけ縛っていて耳が出てる。
茶髪も違和感ないってすげぇ。
ほんとに桜井ちゃんのデザインは間違いないんだな。
受付にもぴったりだ。
「ていうか、幸丸のそれは?」
「あぁ、これっすか」
桜井の攻撃から逃げてきた幸丸は、なんかアイドルのステージ衣装みたいな派手さがある。
しかも髪が赤寄りの茶っぽい。
「最初は確かゲームなんすけど、アニメにもなってるキャラの1人っす。オレに似合うからってコスさせられる時は大体コレなんすよね」
「……似合ってるけど、幸丸コスプレしてんだね」
「まあ……不可抗力っす」
苦笑いした幸丸だが、本当に似合う。
そこにすかさず桜井ちゃんが突進してきて、幸丸の腕を掴んだ。びっくりした。
「サチはやっぱり音也なんだってば!サッカー好きでスポーツ全般好きで歌うことはもっと好きで一直線でちょっと天然な感じ!」
「いやオレ天然じゃないし」
「それはそれ。慣れてるやつだからいいでしょー」
「音也…?」
「キャラの名前っすよ。この衣装は初期?のステージ衣装だったはずっす」
「それで1000%歌え!」
「絶対に嫌です」
ふふふ、と笑う桜井ちゃんは可愛いんだけどちょっと不気味でした。
会話の内容は分からないけど、楽しそうだからいいか。
それから蒼司のぴったり過ぎる執事姿に、会長が見たらどういう反応するのかな、とちょっと気になったりして。
廣田と着替えに行った俺たちは、紙袋の中身を見て互いに唖然とした。
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