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02
 


「じゃ、接客の担当行こうか!」



 桜井ちゃんの力の入れ具合が分かったところで、接客担当14人プラス桜井ちゃんが準備室に、と足を進めると、ひとり隅っこで眺めていたまっつんの声が聞こえた。



「…は!?、俺もかよ!?」
「あったり前じゃないですかー、このクラスの担任でコスプレ喫茶店やるに決まったからには先生も道連れ決定だから」



 なんとクラスの担任まっつんまでも桜井ちゃんの暴走に巻き込まれることになっていた。
 無理だ、と言うまっつんに桜井ちゃんは散々見てきた笑顔でぐいぐい迫る。



「私がこれを逃すとお思いか!」
「知るかよ!俺を巻き込むな!」
「何をおっしゃいますか!クラス担任が先生だと分かった瞬間に私の脳内はまさにパラダイス!ホスト系担任が転入生にアレコレアッーな展開はなかったものの担任×生徒とかなにそれ天国!寧ろ逆でもイイくらいだわ!嫌よ嫌よも好きのうち!内気だった彼を然り気無くツンデレに育て上げて可愛がっちゃう感じですよね分かります!卒業したら同棲ですか!遊びに行ってもいいですか!禁断の先生×生徒または生徒×先生でもバチこい!他の生徒に取られちゃうんじゃないかって不安と嫉妬にかられて八つ当たりで弄くり倒しての飴と鞭で意識を反らせないように誘導しちゃうんですよね分かります!っさあ準備室行きましょうか!」
「今のマシンガンで行きましょうかじゃねぇよ!何にも伝わんねぇよ!」



 桜井ちゃんの暴走と猛威の手がまさかのまっつんにまで及んだ。今までにないマシンガントークにまっつんもドン引きである。
 つーか、あれを噛まないってすげぇな。
 そんな意識が同調したはずのクラスメイトが見守る中、ひとり幸丸が二人に近づき、優しくまっつんの肩を叩いた。



「諦めて下さい」
「助太刀じゃねぇのかよ…!森てめぇ!」



 まさかの桜井ちゃん寄りである。
 幸丸を味方に付けた桜井ちゃんは、ニヤニヤしながら言った。



「先生、無自覚片想いも滾るけど、きっと先生のコスを見たいと思ってるよ、廣田くん」
「…なんで俺?」



 ここで予想外の廣田登場。廣田もびっくりして、さっきまで沈黙だったのに思わず突っ込んでしまったようだ。分かるよその気持ち。
 まあ、確かに最近距離が近いなとは思ってたけど、なんで桜井ちゃんは廣田を出したのか。



「……桜井、お前、俺が嫌いなのか」
「ふはははは。んなわけないじゃないですかー。ただちょーっと最近小耳に挟んだものでして」
「担任を脅すのか」
「やだなぁ、脅すなんてそんな物騒な。担任だけ普段と同じままクラスを見守ろうなんて場違いだなって」
「今俺のことバカにしただろ」
「女女しいと嫌われちゃうヨ」
「っ担、任、だから仕方なく参加してやるよ!」
「ふ、流石王道」



 クラスメイトは今、桜井ちゃんに脅威を抱いたと思う。
 桜井ちゃんが小声だったせいでまっつんの言葉しか上手く聞き取れなかったけど、あの大人しい静かな桜井ちゃんがまるで別人のように見えた。
 とにかく桜井ちゃんに逆らったらヤバイ気がする。

 嫌そうな顔をしたまっつんの腕を引いて、ご機嫌な様子で桜井ちゃんは準備室へと足を向けた。



「じゃ、行きましょうか!」
「忘れてただろうけど、唯も着るんすよ」
「……うっ」



 そんで暴走した桜井ちゃんを操れる…いや抑止出来るのは幸丸だけだと俺は思いました。



 


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