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05
 


「───うーん、軍服…鋭い目付きと相乗効果で更に眼鏡装備とか?眼鏡北条くんかなぁ…。…進撃?鋼錬?あえての海軍とか?やっぱり容姿は弄りたくないし、ここはマスタング…いや目付きがなぁ。ダンデビ行くと髪がアレだし、やっぱ軍…あ、あぁアレだ!よし!…もう片想いの相手にだけ柔らかくなっちゃう鋭い目付きとか嫉妬深いとか、黒髪だけど王道たまらん。」

「……諒ちん、なんかちらっとオレの名前出なかった?」
「……出たね」



 どうやら多貴には眼鏡を与えるらしい。


 ───午後の授業が全て文化祭準備に当てられる文化祭二週間前。ちなみに一週間前になると授業なしの文化祭準備になる。

 お昼を終えた午後、接客担当が窓際に集められ、デザイン兼裁縫担当の数名がこの数日で候補に上がったものを文化祭までに出来るヤツと無理なヤツを分けたらしい。
 そして大体のクラスメイトのイメージ衣装が決まって採寸をし終わり、残るは俺、多貴と伊織、幸丸に瀬戸と蒼司になったんだが。


 瀬戸を前に桜井ちゃんが暴走しておる。
 さすがの瀬戸も、あまりの勢いに無言で窓に頭をくっ付けて出来るだけ離れようとしてます。すげぇな桜井ちゃん。



「よし、瀬戸くん軍服決定。デザインは前日まで秘密ね。採寸するから立ってもらっても?」
「……、あぁ…」



 瀬戸が今までになくクラスメイトに素直である。びっくり。
 立ち上がった瀬戸に、他のクラスメイトが恐る恐るメジャーとメモを手に近づく、のだが。



「睨まない。両手を肩の高さに上げる、顔を下げない上げすぎない!」
「……チッ」
「…今この場で羞恥プレイするか、今だけ耐えるか、どっちがいい?」
「……てめ、」
「あ、やっぱり際どいやつにしよっかなぁ」
「……」



 瀬戸が桜井ちゃんに踊らされてるんですけど。何者なんだ幸丸の彼女。
 自分の席の机に座っている幸丸に近づき、こそっと耳打ちすると幸丸は「ははは」と笑いながら遠い目をした。



「こういう状態になると怖いもの知らず、っつーか、普段から怖いもの知らずなんすけど、ちょっと変わった脳内変換が起きてて怖く見えないらしいんすよね」
「……ちょっとよく分かんない」
「付き合い長いけど未だにオレもよく分かんねぇっす」



 だから流せばいいと思う、と爽やかに笑った幸丸に頷くしかない。幼馴染み兼彼氏である幸丸が言うのだからそれでいいんだろうな。

 大人しく採寸されている瀬戸を見守りながら、桜井ちゃんは多貴の方に体を向ける。
 ちょっと多貴が後退した。



「うーん、北条君には眼鏡…もいいけどやっぱりそれだとありきたりだよね、やめよう。ていうかチャラ男一途とか本当キタ。見た目とのギャップっていうの浮気×美人幼馴染みとかもアリだけど一途イイよたまらん。あえて望月くんと揃えるのもいい。望月くんが和装寄りだから北条くんの髪型変えて和装カップルに……、一見遊び人な薬屋商人と甘味屋の看板息子…二人は禁断の恋に落ちるが堂々と出来ずに逢い引きを重ねてついに駆け落ち…いや、後夜祭に二人で抜け出して艶やかにアッーとか!やだもうぜひ拝みたいです!」
「…伊織助けて」
「我慢して」



 引き気味な多貴に、伊織は安定の一刀両断。しかし伊織もちょっと苦笑い。
 どうやら多貴と伊織はお揃いになるらしい。


 そのまま多貴と伊織も採寸のために立ち上がる。
 採寸担当のクラスメイト(男)がうっとりした表情でなんか「天職」とか呟いてたけども。大丈夫か。


 


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あきゅろす。
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