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体育祭(午後の部)‐01
 

『…えー、皆さんお昼休憩ちゃんととれましたでしょうか。ちょっと何かあったみたいですが、漏れなく五分前集合して頂いてるみたいで助かります』



 なんだか鈴木が疲れているような気がする。大丈夫か。

 午後の部開始五分前に流れた放送は、なんだかテンション低めの鈴木の声で聞こえてきた。


 とりあえず、ちょっとなんかあったっていうアレはさっきのやつですねすみません。



『ごほん。…んじゃあ、気を取り直して午後の部楽しみましょうか!実況は引き続き鈴木流がお送りいたしますんでヨロシク!』



 切り替え上手な鈴木の言葉に、会場は鈴木への応援やら意気込んだ声が上がる。
 鈴木、なんかいいやつだな。
 テンションとか何いってんのか分からない時あるけど。



『では、で・は!ついに来ましたよ午後の部最初の競技は、南ヶ丘体育祭恒例、異種目競争ぅうぅぅ!!』



 テンションスイッチがハイに切り替わったらしい鈴木は声高らかに叫んだ。
 それに答えるように、歓声やらやりたくないみたいな低い唸り声。ここの生徒こわい。



『それでは、異種目競争の出場生徒は入場ゲートまでお願いします』



「出番っすよ瀬戸」
「いってらっしゃーい」
「瀬戸ちん、がんばれ」
「いってら」
「……お前ら…」



 恨めしい顔で瀬戸が立ち上がると、なんとその場にいた周りの生徒がどよめいた。
 俺らのクラスは瀬戸が出ることを知ってるから苦笑いだけど、やっぱり意外なんだろう。
 戸惑った声やら驚きの声、なぜか喜ぶ声などなど。


 そんな声に険しい顔のまま入場ゲートまで怠そうに歩き出すのを見送る。



『───ふぉおぉぉ!?まさか!まさかの瀬戸様が今回の異種目競争参戦だと!? 不参加だと思ってたよありがとう!クラス委員長ほんっと説得ありがとう!萌えをありがとうございます!!』



 相も変わらず鈴木の興奮は瀬戸の出場に対する意外性で上がるらしい。すご。


 それ以外にも会場は歓声や悲鳴でひしめき、なにがなんだかわからない。それほどまでに異種目参加の生徒は凄いのか、と入場ゲートを見て…あれ?



『あぁあぁぁ、さあさあさあさあ今回の異種は今までで一番最強です!なので参加生徒のご紹介をぜひさせていただきたい!』



 その言葉に、会場はまとまって黄色い悲鳴や雄叫びで地響きを起こしました。
 すっげ。


 

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