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06
 

「この件の処罰については、体育祭が終わったあとだ」



 手帳の番号とにらめっこみたいな事をしていると、風紀長が溜め息混じりに言ってきて。



「それって俺も入ってます?」



 気になって聞いたら、お前はいい、とお許しを頂きました。やったー、って喜んでいいんかねコレ。
 あ、でも隣の被害者、同学年らしい女子の学級委員長がホッとした雰囲気だったから良いのか。



「そろそろ午後の部が始まる」



 そう言って風紀長は立ち上がり、突然日暮君の頭を叩いた。なんで。



「なんでぶつのさー!」
「腹立ったから」
「横暴ー!」



 鬼ー!、と日暮君は叩かれた頭を擦りながらも相変わらない緩さ。慣れか。慣れるほどやられているのか。


 風紀室の扉を開いた風紀長に促されるまま、俺たちは会場に戻ることに。
 そんでまあ、忘れちゃならん事がある。
 さっきやっと止まった携帯の震えに、今度は俺が震えそうです。なんかもう携帯から黒いオーラが滲み出てきてすら思う。


 ……戻りたくねー。



「どうした」
「いえ、なんでも」



 一人のろのろしてた俺に、何故だか心配そうな風紀長。色んな噂が出回ってるらしい風紀長だけど、やっぱ人間だし感情あるよな、なんて酷いことを考える俺。

 お世話かけました、と軽く頭を下げてから風紀室を出た。



「保護者さんには俺から連絡しといたからねー」
「…え゙?」


 今 な ん つ っ た … ?

























「バカ!」
「すみません」
「連絡くらいしてくれよー」
「すみません」
「戻って来ないから心配してたんすよ?」
「すみません」
「瀬戸が」
「すみま、え、」
「ざけんな森てめぇ」
「照れんくてもいいんすよ?瀬戸」
「してねぇよ!」
「日暮君から連絡来たから良いけど、無闇に首突っ込まないでね?」
「……はい」



 午後の部開始十分前にテントに戻ったら、本当に心配そうに言わせてしまった。
 ていうか伊織、日暮君の連絡先知ってたんだ…。


 聞けば、去年色々あったせいで風紀のお世話になることが多く、当時も風紀委員だった日暮君と連絡先を交換していたんだとか。
 その時まだ平だったらしいけど、よく助けてもらったって。
 意外だ。後でちゃんとお礼言わなきゃ。


 

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あきゅろす。
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