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 次々と物と者を借りに走る生徒。者の場合はゴールをしたらお題に合っているか証明しなきゃいけない。
 者じゃない事を願いつつ自分が走る順番が来てスタート地点に立っていると、後ろから肩を叩かれた。



「あれ、蒼司借り物だっけ」
「一応同じクラスなんだけどな」



 柔らかくも苦笑を浮かべる蒼司が後ろに立ってました。
 いやーほとんど聞いてなかった、なんて笑うと、だよね、と返された。なんか俺がいつも人の話を聞いてないみたいな言い方だ。



「そーいや蒼司、あれからどうなった?」
「……あー…、」



 目をそらすな、目を。
 言いたくないんだな分かった。分かったよ。二人三脚の仲良し具合はこの際突っ込まないでおこう。うん。


 そうこうしているうち、前の走者たちが終わったようで。



『来ました影の人気者!黄色Tシャツがちょっと大きめそれが長袖だったらマジ萌え!な仁科くんキタ!今日もカッコカワイイ!おやつで餌付けを狙われてるのは知らない様子、無自覚たぎるぜあぁぁ痛たたた委員長頭はらめぇえぇ!』



 俺!?てゆか鈴木俺の事知ってんのっつか餌付けってなに!?
 思わぬ実況に一瞬頭が真っ白になった。
 影の人気者とか意味が分からないから!



『げっほ、げほっ!…っ、あぁ、失礼しました。───さぁ注目の第5走者、スタートです!』



 まだ午前の部だけど、体育祭終わるまでに死なねーよな、鈴木…。
 そんなことを思いながらもスタート合図に無意識に走り出した俺は自分にびっくりした。



『走り方綺麗!陸上部が目を光らせておりますが勧誘はお断りですだって帰りは甘いもの食べたいお年頃かわいいだだだ愛が痛いです委員長ごめんなさいすみません』



 ちょ、なんで俺の楽しみ知ってんの鈴木お前ちょっとまじで恐いんだけど。


 顔が引き吊るのを感じながらも、お題の札が入った箱までたどり着く。

 次々後ろから同じように箱の前にきた生徒は、我先にとがさごそしてるけど。
 こういうのって何も考えずに引いた方が良いとか誰かが言ってたような…と手を突っ込んで直ぐ様札を掴んで引き抜いた。



『男らしいです仁科選手!でもかわいいです!さあお題はなんなんでしょうか!?』



 もう鈴木は無視の方向で。突っ込む前に言葉が理解できないから疲れるだけだ、うん。

 四つ折りの札を広げてお題を目で追って───言葉を理解した瞬間に、体が固まった。

 



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あきゅろす。
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