08
スタートとゴールに(一周する感じなので)近いテントのせいか、これから走る生徒と走り終わって息絶え絶えな生徒が混じらないように、終わった生徒は端にレーンの内側に(レーン上に障害物があるから)いる。
なんでか一定の距離を置いて一人息を整える独走者が視界に入って逸らせないのは。
『ぉおーっと!!赤が転倒!!順位変動です!!───ってぇえぇええなんだあの色気はあぁぁあぁあ!!狼の色気が!!色気が!!滴る汗を拭う姿がエロいんですけど誰の為のその汗ですか女子がメロメロです『ゴンッ』痛っ!!今までで一番強烈っす委員長ごめんなさい』
鈴木……。
じゃなくて。そんな実況(?)の通り、黄色Tシャツの襟元で風を起こしながら汗を拭うその姿に、確かに一部はなんか赤面の溜め息状態。うっとり、みたいな。
すげーな、とか思いつつ観察していたら、ばちっとスタート前と同様に、瀬戸と目があった。
「……」
合った、んだけど。
「……ッ、」
半袖Tシャツの襟元で汗を拭いながら、目をそらさないその姿があまりに、なんつーか、色気すげぇ…。
つーかそんな顔で俺を見んな!なんか知らんがめっちゃ恥ずかしい!
「うわー、なにあいつエロ」
「あれは18禁だね」
「…ちょ、失神してるやついるんすけど」
横の三人が口々に、エロいだの危ないだの狙ってるだのと言っているのを半ば聞き流してはいるけど。
『ああああもう!!そんな鋭い視線で仕留められたいネコちゃんの視線までも独占ですね分かります!!───さて、障害物競争総合一位黄、二位青、三位緑、四位赤です!!参加生徒は速やかに退場してください』
鈴木のテンションの切り替わりの凄さには誰も突っ込まないのか?それともそんな事に構ってらんないってか。
え?現実逃避ですけどなにか。色気垂れ流してこっち戻ってくる強面不良擬きから意識を逸らしてんですよ悪いかコノヤロー。
「瀬戸くんお疲れ様」
「おつかれー」
「…おー」
「足早いんすね瀬戸って。色別対抗出ればいいのに」
「出ねーよ」
「……おつかれ」
「それだけかよ」
なんで俺にはそれを言うかな。
他になにを言えと…!?
「お望み通り頑張ったんだから労え」
「なんでだよ」
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