07
「諒ちん顔赤いよー?どーしたの」
「っ知らん!」
「ふはっ」
あいつが、あんな不意打ちみたいに笑うからびっくりしただけだっつの!
なんて言えん!なんかハズいわ!
くっそ。イケメン滅べ!多貴めニヤニヤしやがって!ニヤニヤしてもイケメンとか何なんだ。
もやもやする頭を文字通り抱えていたら、実況鈴木が叫んで思わず顔を上げると。
『やばい!やばいです!障害物なのに障害物になってない!独走です!』
なんてことでしょう。
数ある障害物を軽々とクリアするイケメンがいました。
平均台の上走るとか何なのあいつ。
つーか、
「きゃあぁあぁぁ!!カッコイイィィ!!」
「瀬戸様抱いてぇぇぇっ」
『視線を独り占めぇぇ!!らめぇえぇぇ!!他が霞んでます瀬戸様ぁあぁぁ!!その身体能力が眩しい!!』
歓声、というかもはや悲鳴が脳までキンキンに響いてくるんですけど。なにあの人気。怖がられてんじゃなかったのか。
可愛い系の男子生徒までも一部女子と同じく赤面の悲鳴なんですけど。
いや、うん、まあ、カッコイイけど。
躓くことなく颯爽と走り抜ける姿は、まるで本当に狼みたい。いや狼に限らないんだけど、一匹狼とか言われてるし。
「……」
「すげーな瀬戸ちん」
「張り切ってるね」
なんでそんな楽しそうに話すのさ幼馴染みカップルよ。
「諒ちんからの応援だもんなぁ」
「頑張らないわけないよね」
「いやなにそれ意味わかんねぇ」
ニコニコニヤニヤ。
そんな言葉がぴったりの美形二人に訝しい目を向けるのは仕方ないと思う。
だって、応援なんて他のやつらもしていたし、頑張れ、なんて在り来たりで誰でも言ってる。
目があったのも気のせいかもしれないし、笑ったのも…。
『瀬戸様独走一位ですおめでとうございますご馳走さまです!!続いて二位───』
あっという間に一位を獲った瀬戸。ゴールした瞬間は見られなかったが一際大きくなった歓声(悲鳴)は、きっとその瞬間だろう。
瀬戸の近くに生徒はいないけど、少し離れて見てる生徒が沢山いた。
ざわざわざわ、と言葉までは分からない声がただの音になって四方八方で鳴りやまない。ただ、視線が外れない。
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