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04
 

 二人三脚はやっぱりお互いの息が合ってこそ有利だもんな、うん。
 なんてついつい微笑ましい気持ちで見てしまうのは仕方ないと俺は思うんだよね。



『───うぁあぁぁあぁ!!、なんという速さ!真顔の会長様としかめ面の霧島様だけどなんという阿吽の呼吸!たぎる!たぎりますありがとうごちそうさまです!』


 ……ちょっと後半何言ってんのか分からないけど、実況鈴木のテンションはMaxでスピーカーから震えるような声が響く。

 そりゃ、まあ、凄いんですよ。
 会長と蒼司は恐いくらいに躓かない。
 あんなことがあってギクシャクしてるもんだと勝手に思ってたけど、見ない所で上手くいってんのかも。


「すげーなあの二人」
「な。表情はさておき」
「あの顔なー。いつもふわふわしてんのにな」


 確かに蒼司が、あんなあからさまな不機嫌さを出すのも珍しい。
 いつもの柔らかい雰囲気に角があるような。


『キタァアァァアァ!!一位A組黄色!!さすがで痛いです委員長すんませんちゃんとやりますから殴らないでいたたたたっ』


 …楽しそうだな、実況席。


「あ、次伊織だ」
「相手だれ」
「多貴、顔。」
「……」


 眉間を解す多貴を横目に苦笑しつつ、伊織の隣にいる人物を見る。


「……だれ?」


 そこに居たのはまったく知らない女子生徒。一応黄色Tシャツだし同じ組だけど。
 長いのだろう黒髪をお団子にまとめて毛先がぴょこぴょこしてる。


「……違和感ねぇな」


 横でぽつりと瀬戸が呟いた。
 そちらに顔を向けると、前屈みに頬杖をついて怠そうに中心を見てる。


「違和感って?」
「女子と一緒にいる違和感」
「……」


 それ伊織に言ったら投げ飛ばされるぞ。
 とは言わずにとりあえず苦笑いするしかない。なんか俺、苦笑いばっかだな。


『第2走者はなんと望月様!いつ見ても可愛い!お相手は桜井ちゃんですねー、真面目ちゃんだから彼氏様はご安心あれ!さあ、第2走者出走です』


 なんと鈴木がさりげないフォローを入れたのに驚いて、出走のピストル音に気付かなかった。


 つか、伊織とか多貴とかなんでみんな様付けなんだ?





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