03
『さあ!相方とぴったりくっついてぴったり息を合わせなきゃ熟せない二人三脚!なんと我らが生徒会長様が出場だあぁああぁぁ!!』
「「「きゃあぁあぁぁ!!」」」
「「「馨様ぁあぁぁああっ!!」」」
「「抱いてぇええぇぇ!!」」
「「抱かせろぉおぉぉぉ!!」」
「「頑張ってくださーい!!」」
おい今「抱かせろ」って言ったの誰だ。
黄色い悲鳴の中に低い声もあったぞ。
「相変わらずな人気だなー、かいちょー」
こわー、とちょっと引き気味な多貴に同意しつつ、四方から飛び交う悲鳴やら応援やらで地響きすら感じる事に呆れ。
俺の中で会長はもう俺様ヘタレ会長なんだがな。見る目変わるとアレだ。
つか去年も凄かった気がするけど、びっくりし過ぎて会長の名前とか抱いて抱かせろ的な言葉も聞いてなかったんだな。
だから知らなかったのか。
何となく納得して会長の相手は誰かと気になって見たら、会長の隣にいて且つ足を布製の紐で縛っていた人物に、思わずと声が出た。
「……は?」
「諒ちん、あれ、」
どうやら多貴も気付いたらしい。
ていうか、
「会長、A組だったんだ…」
「え、そっから?」
会長が着ているTシャツは黄色く、俺らの着ているものと一緒で。あんな目立つ色なのになんで気付かなかったのか。
今まで見えなかったんですよだって生徒会別テントだし興味なかったし、なんて言い訳を心中で並べた。
「てか、なして蒼司が会長と?」
「なんでだろーな」
あの会長嫉妬事件から、夏休みが明けても蒼司は教室にいたから接触してるのか分からなかったけど、遠目からでも蒼司は呆れた感じで嫌々な雰囲気ではない。
夏休み中になんかあったのかな、と考えていると、第一走者が準備を終えていて鈴木の声でちょっと飛んでいた意識が戻ってきた。
『あくまで競技だから嫉妬はナシ!!っていうか霧島様なら納得すんだろ皆の衆!!ッいたたたたすんません!!───で、ではいきます!!いきます!!がんばれ!!』
そして、教師の合図で第一走者がスタートした。
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