02
学級委員、廣田の圧力(?)によりサクサクと参加競技欄に名前が書かれていく。
体育祭っつってももう、祭じゃなくて大会だろ。後夜祭はあるけども、参加自由だし体育館内でパーティープレートみたいなの並べて立食パーティーみたいになるだけで、もはや打ち上げだしな。
行くかは気分。
「───よし、早々に決まってくれて助かるよ。おかげで自習時間が出来ると思う」
そんな廣田の言葉に、クラスの男女は歓喜しました。流石です。
「先生、終わりましたよ」
「おーご苦労。ありがとな」
「お礼はそのうち」
「こえーよ」
肩をマッサージしながら苦笑するまっつんに、廣田はさらりと言って席に戻る。
まさか一日で決まるとは思ってなかったのか、まっつんは「なにすっかー」と気の抜けた声で頭上の時計に目をやった。
「ま、チャイム鳴るまで自習な。騒ぐなよ」
結局やることがないのか、パイプ椅子から立ち上がる事なくそう言った。
クラスメートは好き勝手動くけど教室から出ることも、大きく騒ぐこともなく。
「大丈夫っすかー、瀬戸」
「……ほっといてくれ」
そして後ろの席の瀬戸くんは、見事に机に突っ伏してます。
まあ、仕方ないと思う。
「異種に選ばれちゃったからねー、なんでもいいとか言うからー」
「……るせ」
そうです。瀬戸は皆が嫌がる異種目に選ばれました。
今年は何をするのか、知っているのは生徒会と実行委員会だけで、教師も知らなかったりする。
そんな、本当に異種目競走に容赦なく瀬戸の名前を書いた廣田はすごいと思います。何が凄いって、校内で恐れられてるらしい不良相手に臆することなく「何でも良いと言ったんだから男に二言はない」とすっぱり言い切ったこと。
最近では俺らと行動してるお陰か、あからさまに怯えたり避けたりするような奴はクラスにはいないけれど、それでも今までの事は簡単に拭えないようで、やっぱ恐いのかな、と思う。
だって、異種目に瀬戸の名前を書いた時のクラスの沈黙はびっくりしたし、瀬戸が半ギレした時の空気は冷たくて、改めて恐れられてたんだなって実感した。
それでも廣田はニヤリと笑って言い放ち、瀬戸を沈めてしまったわけだから。
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