学級委員は色々と強い。‐01
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「───色別リレー、障害物、借り物、騎馬戦、二人三脚、風船玉入れ、異種目競走、走りばっかだな。あとは…ミニバスケ、ミニサッカー、…教員リレーってなんだそれふざけんな」
「まっつん文句ひどい」
「北条てめぇ全種目やらせるぞ。…あー、以上参加種目決めろー。廣田ー」
溜め息ひとつ端のパイプイスにドカッと座って、まっつんは職務放棄した。
9月中旬にある体育祭に向けて、日の最後の授業を潰して種目決めやら何やらをやる事になってる。
使えない担任に代わり、学級委員が教卓に立つ。
呆れ顔してるよ。さすが去年も学級委員だっただけはあるっていうかまっつんに無理矢理決められたんだけど。
「先生そのうち教育委員会に呼び出されて文句言われますよ」
「責任能力向上のため」
「ドヤ顔で言い訳しないでください」
「あん?通ったぞ」
「…もう呼ばれてたんですか。あざといですね」
「世渡り上手と言え」
「あざとい」
「ケンカ売ってんのか」
「今さら気付きましたか」
「おま…」
「さて、さっさと決めましょう。最低一人二種目です。立候補しなければ勝手に決めますが文句は担任にどうぞ」
「はぁ?ふざけんな」
「じゃあやってください」
「…任せる」
そしてまっつんが負けた。
学級委員すげぇ。つか廣田がすげぇ。
一年に引き続き学級委員を任された廣田(ヒロタ)は、大人びた雰囲気で唯一まっつんとの張り合いに勝てる男子生徒だ。
今では定着してしまっている辛辣さは一年の時には無かったし、もっと弱々しい感じだったのに今じゃ毒舌になってしまった。
その原因は勿論まっつんで、もう自業自得だと思う。
ちなみにキレたまっつんを言葉だけで止められるのも、廣田だけ。
「なー、なにやる?」
いつも通り横向きの多貴が、黒板に書かれた種目を見ながら聞いてきた。ちなみに俺も横向き。
「異種目競走ってなんだよ」
右隣から不機嫌そうな瀬戸が、溜め息混じりに言った。
「当日まで分からないんだって。去年は確かデカパンだったかな」
伊織がにっこり微笑んで瀬戸に答えると、瀬戸の眉間にシワ。
あー、確かにデカパンだった。学年ランダムくじ引きの男女一組でデカパン履いて百メートルだったな。
「瀬戸君去年やらなかった?」
「バックレた」
「今年は出ようね?」
「なんで」
「出ようね?」
「……」
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