04
紙袋をカウンターに置きながら、俺の前にある皿を見て微笑む皆川さんは本当にイケメンで。
俺の周りのイケメン率がすごすぎて嫉妬すら沸かないくらいだ。
「今日はなに食べたんだ?」
「モンブランっす!お陰でめちゃくちゃ幸せっす」
そう言った俺に、本当に温かい目をして微笑んでくれる皆川さん。まるでお兄さんのようだと思った。
喫茶店を後に、帰路を歩く。
いやー、やっぱりあそこは俺の癒しだ。ここしばらくのストレスなんて、ごみをちりとりに入れて掃除するようなもんだな。
あの喫茶店はどこか変わっていて不思議な場所だと思う。ちょっと変わっているのは従業員なんだけど、ヘンってわけじゃなくて、気楽に話せて落ち着けて、普通の喫茶店みたいに従業員と客って感じがあまりしない。
従業員同士の仲の良さとか、その中心に時任さんがいるような気がする所とか、仲の良さを通り越してるような気がする所とか、ケーキの美味しさとか。
俺はケーキ以外の食べ物を頼んだことがないけど、確実になんでも旨いと思う。それを趣味と言って客寄せもしないでひっそり営んでいるのも、不思議な所のひとつだ。
機会があればスイーツ以外に頼んでみようかな。メニューはかなり豊富らしいけど、そういえばメニュー表すら見てなかった。タダケーキに紅茶だけって、なんかね。
それでもそんな罪悪感みたいなものすら抱かないほど、あそこは空気が柔らかい。優しくて、温かくて、なんで今まで気づかなかったんだろうってくらいだ。
これぞ運命の出会いってやつだな。
九月に入って夏休み明けの始業式は理事長が相変わらずで、課題提出は全員期間内に終わらせた事に対して担任のまっつんは面白くなさそうな顔だった。それでいいのか教師として。
休みボケを引き締めるように始業式翌日から平常授業だけど、今月はスポーツ大会なるものがある。
暑さは相変わらずだけど、少しはマシだろうと七月から九月に変更された行事らしい。熱中症とか騒がれる時期だからかなあ。
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