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「……おい、触るな」
蒼司の手を握って、握り返されてたら横から槍が。
「はぁ?まだ言ってんすかアンタ分からず屋ですね、本当に生徒会長?嫉妬し過ぎて沸いてんのかよ」
「……、ふ…っ」
嫌悪感丸出し失礼承知で言ったら、なぜか副会長が笑った。なぜ。
「ごめ…、…ふふ…っ。すっごいね、キミ。馨にそこまで言うなんて」
「……はい?」
この重たい空気をものともしない副会長はアレですか、わざとですか。わざと空気読まない感じか。
肩透かし食らった気分だ。
「仁科君…、うちの会長が迷惑をかけて申し訳ない」
「いや、副会長が謝らなくても…何もしてないじゃないですか」
会長が馬鹿なせいですから、なんて言葉は飲み込んで。
すると副会長はまた笑って。一体彼のツボはどこにあったのか。
「我が儘でプライド高くて自分勝手でさ、僕もちゃんと監視してなかったから」
「……」
監視?え、監視?
どゆこと、と会長を見れば、そりゃもう不機嫌通り越してどっか拗ねてるような感じに見えなくもない。
えー、会長。副会長に監視されるようなことしてんのアンタ。ないわー。
「まあ、確かにプライド高いっすよね会長。蒼司への気持ちよりそのプライドのが強いってことですよね。情けない」
「なんだと?」
ギラッと睨まれても知らん顔。
ふん。
「だってそうでしょ。本当に好きなら情けない姿だろうが何だろうが必死こいて自分を見せるのが誠意だと思うし、その方が伝わりやすいと思いますよ」
「なんでお前にそんなこと分かんだよ」
おーおー余裕綽々がなくなってますな。
無口無表情な生徒会長が、もう台無しじゃないっすか。
「蒼司が俺にしてくれたのは、そういう事だからですよ」
「……は?」
意味わからないって?
会長は自分が誰かを心から求めたことがないのかもしれないのか。
「恥とか情けなさとか取っ払って自分の気持ちを直接ぶつけくる蒼司は、アンタには勿体ないって言ってんの」
「……っ」
必死っつーのは、自分の体を動かして自分で相手にぶつかることだと俺は思う。
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