04
にこやかな副会長に促されるまま、恐々と中に入る。
そこはまるで会社のデスクみたいな机とパソコンが並び、オフィスかよココ学校ですよね?なにこの空間。え、なにバカなの?、と心中でフル突っ込みだった。
蒼司に引っ張られてソファに座り、テーブルの上には盛りだくさんの菓子。それを物色して楽しそうに食べる人。蒼司が生徒会会計の松尾直也という同じ歳の生徒だと教えてくれた。
蒼司の膝の上に当然のように座って、蒼司も当たり前のように頭を撫でている事には突っ込むまい。
副会長が紅茶を出してくれた事に礼を述べて、室内に染み付く甘い香りはお菓子と紅茶だと知る。
なんだここは。生徒会室ですよね?
「相模先輩、会長は?」
会計を構いながら蒼司が問うと、副会長は困ったように笑った。
「風紀委員長のとこだよ」
「…あの野郎居ろっつったのに」
横からのチッ、という舌打ちは聞こえません。聞こえません。
なにもう蒼司が分からない。
「もうすぐ戻ると思うよ」
「……はぁ」
いやいや、そんな困った子供を持った親みたいな溜め息ヤメテクダサイ。
元恋人の意外な一面を垣間見てる俺としては、なんだかとても居心地が悪いです。
「ところで、仁科君」
「ぅあはい!」
「会長に用事って?」
変な返事は突っ込まないんすね。
じゃなくて。
本当に何も知らず気になっているような顔をする副会長に、俺の方が首をかしげた。
副会長は何も知らない…?
会長が単独でやったことなのかな。会計も気になってるようで、お菓子を食べながらチラチラ見てくるし。
「いや、個人的な用事なんですけど」
「個人的な?」
訝しげな表情をされた。
なんかまずいこといった…?
「相模先輩、諒は他のアホ達とは違う用事です」
「アホ達ってなんだ」
「親衛隊関係とか、言い寄ってくる人達」
「……」
え、告白みたいな解釈されたの?
いやいやまるで興味がないですけど。名前すら知らなかったんですけど。
「…霧島君が言うなら、そうなんだろうね。元恋人らしいし」
なにその信用基準。
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