02
やっぱりさ、顔怖くても美形であることは変わらないわけだし、眼鏡でかっこよさ割り増しだよな。
学校で眼鏡しないのってやっぱり、そういう色恋的なのがあったからとか?
……、つかなんで俺こいつのことばっか考えてんだ。
「諒、どうしたの?」
「ぅえ?なにが?」
「……」
「……」
そしてなぜか向かい側にいる伊織と見つめあう。
なんかすごい怖いんだけど。
そんな意味不明の見つめあいから数秒後、バンッと教科書がテーブルに叩きつけられた。
「腹減った!」
教科書を叩きつけたのは多貴で、なんか頭から煙出てる幻すら見える。
そして多貴は部屋の天井を仰いでそのまま後ろのベッドに寄りかかった。
「あ、もうお昼だよ」
「マジか」
壁掛け時計を見れば、正午を少し過ぎていた。
集まるのが9時半とか自らを追い込むようなスパルタな事を言った本人は、もう既にお昼ご飯のことで頭が一杯のようで。
そんなんで覚えられんのかとちょっと不安になった。
とりあえず腹が減っては戦ができぬので、立ち上がりながら聞いてみた。
「昨日のカレーでよけりゃ、すぐ昼飯に出来るけど」
「二日目カレー万歳!」
「あ、カレーでいいんだ」
「僕も手伝うよ。下で食べるでしょ?」
「おう、さんきゅ。瀬戸もカレーでいいか?」
「あぁ…悪いな」
「気にすんなー」
教科書とノートをそのままに、四人でリビングに下りる。
昨日は久々にカレー作って、案の定作りすぎたわけで。
洗面所で手洗いを済ませキッチンへと向かえば、勝手を知る伊織は冷蔵庫へ一直線にサラダ作り。流石です。
多貴は濡らした布巾でテーブルを拭いている。
「瀬戸座ってていいよ」
「……」
「手持ち無沙汰か瀬戸ちん」
「…そりゃあ、ひとり何もしねぇとな」
「へぇ、瀬戸にもそういうとこあるんだ」
「…オイお前さっきから俺に喧嘩売ってんだろ」
売ってません。滅相もない。びっくりしただけです。
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