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勉強会‐01
 


「───なあ、いいだろ伊織…?」
「ちょっと多貴、ダメだよ、さっきしたばっかりなのに」
「オレもう耐えられねぇんだよ、」
「…あ、ダメだってば。我慢して」
「伊織はオレが嫌い…?」
「そうじゃないけど…、あ、ちょ…っ!」


 そして多貴は伊織のノートを覗き見たのだった。


「…もー、そんなことじゃ勉強にならないよ?」
「だってわかんねぇんだもん…」
「さっき説明したでしょ」
「応用は苦手なんだよー、頭がパンクする。耐えられん」
「いつもやれば出来るんだから、頑張って」
「んー」


 いくつかのノートや教科書などが広がるテーブルの向かい側で、実際に頭を抱える多貴を見ていると隣から低い声が。


「………オイ、なんだこの茶番」


 細いフレームの眼鏡を掛けた、しかめ面の瀬戸がシャーペン片手に固まってる。
 珍しい眼鏡姿はやっぱ見慣れないけど無駄にイケメンだなおい。知的さが増してなんかヤバイよ。

 じゃなくて。


「気にすんな、いつもの夫婦漫才だ」
「……いつもの…?」
「テスト勉強中の漫才」
「……」


 お察しの通り、修学旅行の浮かれ具合から一変、只今中間テスト期間中につき俺の実家で集まって勉強会なのだ。
 いつもは多貴と伊織と三人だけど、今回からは瀬戸も加わりなんだか楽しくなってきた感じがする。


 修学旅行中に買ったお揃いのヤリイカシャーペンを転がして、多貴は資料とにらめっこ。

 幸丸も誘ったけど、今日はたまたま予定が入っていたそうで週末土曜日に一緒に勉強することになってる。


「瀬戸ちんの眼鏡がレア過ぎて集中できませーん」
「俺のせいにすんな」
「確かに珍しいよね、視力低かったんだ?」
「こういうときだけだ。細かいと見えにくいから」
「意外に眼鏡似合ってんね瀬戸」
「意外ってなんだ」


 強面であることを忘れてはならないよ、一応不良として怖がられてるということもね。
 しかし、眼鏡かー。


「学校じゃしてないよな、眼鏡」
「あ?あー、めんどくせぇからしなくなった」
「なんで?」
「……言わねーよ」
「けち」


 ぶーぶー言ってたらヤリイカシャーペンでデコを軽く突かれた。痛いんですけど。


 

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あきゅろす。
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