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中編
02
 


 そんな思い出や一緒にやっているオンラインゲーム、風景から拾った話題など本当に色々な話をした。
 1年はゲームをやっていて会話もしていたから何となく亮平さんの人となりはイメージ出来ていたけれど、実際に会ったら更に好感度が上がっていた。


 車は暫く走り続けていつの間にかビル郡から抜け出し、自然な景色が視界に入る。


「亮平さん、ずっと運転してて疲れませんか?休憩しましょう」
「え?あぁ、楽しくて気にしてなかった。結構走ったね」


 楽しいと思ってくれている事が単純に嬉しかったけど、車の運転は疲れるって父も言っていたから俺が気になっていた。
 近くに休憩出来る所は無いかと周りを見ていると、亮平さんが「あ、海行こ」と思い付いたように言う。


「この先に道の駅あるから、飲み物とか買おう」
「知ってるんですか、ここらへん?」
「気晴らしに一人で走ったりしてるから、近場は結構来てるんだ」


 色々行っていると道の駅くらいは頭に入るらしい。迷うことなく車は駐車場へ行ったが、流石土曜日というべきかなかなかに混んでいる。
 ちょいちょい空いている所があったから良かったな、と言いながら亮平さんは慣れた手つきでハンドルを扱い、すんなりと駐車した。
 外へ出ると冷えた空気が肌を撫でる。澄んだ匂いがして吸い込むと意識がすっきりする。


「ん゙ー…、やっぱこっちは涼しいな」
「お疲れさまです」
「寒くない?」
「大丈夫です」


 亮平さんの気遣いに対してどこまでイケメンなんだろこの人、なんて思いながら背中を追った。
 手洗い場があったのでついでに寄ってから賑わう道の駅の屋内へ入ると、土産物や小さめのフードコートがある。


「なんかつまむ?甘いもん欲しいなー」


 アイスやクレープ、菓子パンなどのコーナーを見渡す亮平さんの隣に立ってふと周りに目をやると、若い女性客達が亮平さんを見ている事に気付いた。
 やっぱりカッコいいもんな、スタイル良いし声も良いから聞こえたら振り返るよな、と周囲を観察していたら腕を引かれて隣を見上げた。


「どした、なんか欲しいもんあった?」
「あ、いや、……安納芋アイス?」


 焦って適当に視界に入った名前を言うと「何で疑問系なの」と笑われたが、その笑みと声があまりにも優しげだったから心臓が跳ねた。
 不意打ちかよ畜生、目と耳がやられた。
 自分を誤魔化すような言葉が浮かんで自嘲したものの、楽しそうだから良いかと開き直る。


「一緒に買っちゃうから待ってな」
「あ、お金、」
「良い子で待ってなよ?」
「〜〜っ!それ絶対わざと…!」
「あははは」


 財布を出しかけて耳元で言われた言葉とその声に咄嗟に耳を塞いで睨み上げると、しかし亮平さんは愉快そうに笑ってカウンターへ行ってしまった。
 弱いの知っててやりやがったな。

 妙な余韻が消えない上に恥ずかしくて耳を擦っていると、携帯が震える。
 確認すると珍しくカメからの電話だった。


 


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