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中編
康之と晃の電話。
 


『───トオル頑張ってるよ、やっさんと同じ年に見えなくて弟が出来たみたい』

「十八から止まってるんだろ? そこから急に三十路なんて俺でもそうなる」

『やっさんの十八?見てみたいわー』

「はしゃいで遊び回ってたよ」

『イメージ出来ねー。今と変わらないと思ってた』

「まあ恋人には冷たいだとかでフラれてばっかだったけどな」

『はは、そこは変わらないんだ。トオルには冷たくしちゃダメだよ?』

「いや出来ないだろ。たぶん逆に鬱陶しいとか言われそうだ」

『あっははは!それいいね!』

「晃くんも笑い事じゃないと思うけどな」

『えー?楓はそんな事言わねぇもん。俺はでろっでろに甘やかすタイプだから』

「楓君も大変だな」

『やっさん楓とご近所さんなんだからいつでも会えるじゃん! ね、なんか言ってた?』

「電話口でところ構わず甘いこと言うから外で聞くと恥ずかしいってさ」

『可愛すぎる。会ったら言ってやろ』

「やめとけ口聞いてもらえなくなるぞ」

『それは困るなー』

「今年はまだ会ってないのか?」

『楓の夏休みが開けるちょい前くらいに行く予定。やっさん忙しい?』

「そうだな、学生の夏休み明けあたりは社長が喧しいからちょっと忙しい」

『ふはっ、いや意味わかんねぇんだけど!』

「色々あるんだよ、いい人なんだけどな」

『楽しそうな会社で良いじゃん』

「そうだな、転職して良かったよ」

『てかさ、トオルは専業主夫にでもするの?』

「本人が働きたいって言うなら自由にさせるけど、俺は家に居てもらいたい」

『ひゅー、俺も楓におかえりってエプロン着けて言われたい』

「趣味がバレるぞ」

『そういう派手な趣味はないから! 彼シャツはちょっと興味あるけど、普段着のワイシャツ持ってねぇし、セーターでも着せようかな』

「楓君は華奢だからちょうどいいかもな」

『そう、最近また痩せたみたいでさあ!夏バテとか言うけど働きすぎなんだよね、倒れたらどうすんの本当、心配しすぎて連れ去りたい』

「恋人でも誘拐はダメだぞ? せめて同意を得てからにしろ」

『やっさん本当、真面目に面白いこと言うよね』

「人のことはあまり言えないから」

『嫌いじゃない。むしろ好き。やっさん冷静で真面目な顔してんのに唐突にぶっ込んでくるからさ、楓も楽しそうだし』

「浮気か?」

『俺は楓一筋なの!もー、知ってんでしょ! トオルに俺と秘密のお電話してること意味深に言っちゃうぞ』

「…さて、楓君になんて言おうかな」

『あー!やめやめ、今のなし!楓出すのはずるい!』

「先にトオル出したの晃くんだろ」

『そーですけどー。 あ、もう時間だ。楽しいとあっという間だわ』

「そうだな、長話ばかりで悪いな」

『楽しいっつってんのにー。 また連絡するから』

「ああ、わかった。ありがとうな」

『いいよー、じゃあまたね』



 
END

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