短編集(~2019) 03 今日は土曜日。 学校は休みで、明日も休みなわけで。 俺はいつものように夜外に赴いて、喧嘩を吹っ掛けてくる馬鹿の相手を軽くしてやる。 何度やっても負けるくせに、何度だって突っ掛かるもんだから。 久しぶりに、遊んでやった。 人通りの少ない公園で、数人が目の前で呻きながら立てないでいるのを見つめていた時に、それはいた。 数十メートル先の花壇の縁で、倒れている男が、目に入った。 見覚えのある、色素の薄い髪の色が、俺の記憶をまさぐったから。 俺は未だにうずくまる数人をよけて、そいつの近くに向かう。 「……おい、」 小さくても聞こえる静けさの中で、普通の音声で声をかける。 返事は、ない。 しゃがみ込んで、横向きで倒れているそいつの垂れ下がった髪の毛をかき分けたら。 「なにしてんの、おまえ」 見知った顔が、そこにはあった。 ---------- 返事はないとわかっていても、ついつい声をかけてしまう。 顔に痣を付けて、血を滲ませた、ボロボロな、不登校中の同級生。 [←][→] [戻る] |