短編集(~2019)
03
───例えるなら、自嘲。
「調子乗らないでよ、うざいから」
体育館裏。よくある光景。
呼び出しがあれば大抵予想出来る展開。
あとは、二、三人ってのも予想出来る範囲内の光景。
可愛い顔した小柄な生徒は、アイツに好意を寄せている。
それは恋愛感情で、とても純粋で、純粋過ぎて屈折した嫉妬が混ざり合って弾き出される行動は、警告という名の八つ当たり。
そう言えばこの1番手間の人は、ついこの間アイツが抱いた生徒。
この学校は、男子校。
僕が苦しくなる理由は、同性との浮気。
異性なら敵わないから諦めに似た感情を抱くし苦しくない。
でも、アイツは同性と浮気をする。
興味がないのかなんなのかは分からないけれど、アイツはいつも同じ学校の生徒を抱く。
「聞いてんの?」
「………」
あぁ、もう、なんだろう。
面倒臭くなってきた。
ここで何を言おうと、目の前の彼等の納得する言葉は、僕にとって嘘でしかない。
嘘はあまり好きじゃない。
本当の事を言った所で、事態がややこしくなるだけなんだろう。
「黙ってないでなんか言えよ」
「相馬くんをたぶらかして、最低!」
「近付かないでよ、自分だけだとでも思ってんの?」
言葉だけ聞けば女みたいだ。
声もそう低くないし、中性的でも女寄りな容姿。
アイツは共通物みたいな言い方だけど、まあ、変わりないんだろうな。
原因はアイツ。
アイツは知らない。
こういう事が週に一度必ず起こっても、知らない。
言ってないし、言ったら面倒臭い事になるのは目に見える程に確実。
だから、
「……同じクラスのあの人と関わるのをやめられるには、あなた達があの人を僕に近寄らせなければいいと思うんだ。僕は学校を辞める気はないし、不愉快だと思うならこんな事してないであの人を近寄らせないでよ。僕は関わらないから」
「……」
いきなり喋ったら、目を見開いた。
失礼だよね、なんか言えって言うから言ったのに。
あぁ、面倒臭い。帰ろう。
もう、放課後になって時間が経ちすぎてる。
「…っあ!ちょ、なに勝手に帰ろうとしてんのさ!」
「話すことないから。じゃあ、さよなら」
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あぁ、面倒臭い。
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