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短編集(~2019)
02
 


 ぱちり、ぱちりと止まることなくデジカメのボタンを押しまくる目の前の変態。
 いや間違えた、後輩。
 ミルクティーみたいな甘い髪の毛に、くりくりとした目、小さい体。
 可愛いと人気がある、見た目は可愛い後輩。名前は確か、春日こまち。


「ぬ、ぬぬ脱ぐんですか!?着替えですか、な、なまなま生着替えですねぇぇぇ!?」


 息が荒い、顔が赤い。
 春日を好いている人間なら、かなりクる姿なんだろうが、発言が尽くぶち壊してる。
 俺には変態にしか見えない。


「春日、どうやって入った」


 部活の更衣室には、窃盗を防ぐ為に鍵がかけてある。
 春日は弓道部ではないし、どの部活に入っているかも不明。
 もしかしたら写真部かもしれない。なんとなく。絶え間無くデジカメは撮影を続けている。


「な、なな名前覚えててくれたんですね!うれしい!!…せ、先輩ッ愛の力があればどこにだって入れますぅぅぅ!!」
「ふざけんな、帰れ」
「やっだ、もう先輩ってば、照れ屋さんっ」


 背中がぞくりとした。
 なんかもう、悪寒しかしないんだけど。


「先輩、」
「……なんだ」


 急に真剣な顔をする後輩。
 失礼だが、そんな顔出来たのか。


「好きです!!」
「マジで帰れ」


 呆れて溜息しか出ない。

 春日の大きな目が瞬いて、一息。


「先輩、溜息ばっかりついてると、幸せ逃げますよ」


 だ、れ、の、せ、い、だ、ゴラ。

 今もなおデジカメで写真を撮り続ける春日。
 人は見た目で判断しちゃいけないってのはこのことだ、と再確認した。


「ところで、なんでお前、俺に付き纏ってるわけ」


 もうダラダラ放っておくのもアレだろ。

 ふわふわと笑顔のまま、春日はぱちりと写真を撮る。
 もうさ、動画の方が良くね?


 

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あきゅろす。
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