短編集(~2019)
君が謝り続けるのは俺のせい。
俺はただ、アイツを愛しているだけ。
自己満足な欲の塊を見るように。
愛さなくても生きていけるさ。
傍にいなくても何も抱くこともない。
手放せなくなったのは、いつからだろう。
「……、ごめん」
「いいよ」
たった一言を繰り返す。
表情の変化はない。
それなのに、その声を聞くだけで、頭ん中がぐちゃぐちゃになる。
真っ白なんて綺麗なモンじゃない。
これは、俺がアイツに抱く感情の具現化みたいなもの。
何も考えられなくなる、なんて事はない。考えすぎて頭痛するほど、俺の脳みそはアイツに侵されてる。
「大丈夫だから、こっちおいで、アキ」
「……うん」
多分きっと、俺を見た人は、独り言の多い男か、悪けりゃキチガイだ。
けど、どうでもいいさ。
何を思われようが言われていようが、俺はアキを愛してるんだ。
そう、アキが死人だとしても。
触れる事は出来ず。
言葉でしか交われない関係だとしても。
報われない愛。同性としても、そして、生と死の越えられない境界線の存在がある限り。
ゆらゆら漂うアキの体に触れる事が出来なくても、俺はアキを愛してるし、アキは俺を愛してくれる。
俺は生きる。
別に後追い自殺とかする気はないし。
例え自殺したとしても、アキと会えるわけじゃない。
だったら、俺はこのまま生きてアキと一緒にいよう。
だから悲しい顔をすんなよ。
キスしたくなる。
END
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目の前の愛しい人は、誰にも見えない自分だけの存在。
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