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短編集(~2019)
06
 


 興奮する慶秀さんを乗せ、極力目立ちたくないのに目立ちながら電車に揺られ。
 着いたのは、某有名遊園地の最寄駅。

 あれやこれやと興奮状態の慶秀さんを引っ張りつつ、入園する。
 楽しそうな叫び声や、走り回る子供、カップル、親子。
 なぜか呆然とする慶秀さんを尻目に、


「さて、どこから回りましょうか」


 手にしたパンフレットを広げながら、はっとして慌てて横から覗き込む慶秀さんを横目に回る場所を決める。
 何故俺の腕を掴むのか分からないが、微かに震えているのが分かった。
 笑みは崩さないんだ。


「どうしたんですか?」
「な、なんじゃ、こが恐ろしき場所は。拷問ではござらぬか」
「ああ、ここ、遊園地っていって、ここにあるのは全部楽しむ為の遊具なんですよ」


 不思議そうな顔をしながらも、きょろりと周りを見回して、慶秀さんは楽しそうに笑う子供を見て笑み深く浮かべた。
 どうやら納得したようだ。
 んじゃ、と俺はS心でついつい慶秀さんを引っ張り、絶叫マシーンへと歩を進めた。

 俺の考えはあれだ。
 ハイテンションになるか怖がるか。
 多分、前者。


「あれ乗りましょ」
「あが遊具や?よきであろう、こが慶秀、いざ立ち向かき勝りてみしめんっ」


 よしよし。
 勝ち負けとか多分あれだ、怖がったり気分悪くなったら負けなんだろう。

 慶秀さんはジェットなんて初めてだし、どんなリアクションするんだろ。
 なんて思いながら向かい、並び、コースターに乗り、安全装置を付ける時に慶秀さんが興奮したのは言うまでもないけど。


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あきゅろす。
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