短編集(~2019) 02 幼なじみから交際に発展して二年目になるけど、付き合ってから一ヶ月足らずでめでたく宗夜の別人格と初対面を果たして、混乱した俺自身が落ち着いた後で、DIDについて調べたことがある。 ほんのちょっとだけなんだけども。 てか、付き合うまでに初対面しなかった事がすんごいびっくりしたんだけど。 DIDになる理由は様々。 解離性障害の分類で、解離性同一性障害はその中でもっとも重く、切り離した感情や記憶が成長して別の人格となって表に現れるもの。 原因は心的外傷が主で一般に多重人格といわれているけれど、ひとつの肉体に複数の人格が宿った訳じゃなく。 あたかも独立した人格のように見えても、それらはその人の「部分」である。 例えていえば人間の多面性の一面一面が独立してしまったようなもので、故に「喜怒哀楽」の「怒」や「哀」を体現した交代人格は他の感情を表すことは(治療が進んだ場合を除いて)あまりなく、逆に主人格は「感情」が薄いことが多いらしい。 別の人格の現れ方は多様だけど、例えば弱々しい自分に腹を立てている自分。 奔放に振る舞いたいという押さえつけられた自分の気持ち。 堪えられない苦痛を受けた自分。 寂しい気持を抱える自分など。 多くの場合元々の自分は、切り離された自分(自分が切り離した別の自分)のことを知らないんだとか。 そして、普段は心の奥に切り離されている別の自分(交代人格)が表に出てきて、一時的にその体を支配して行動すると、本来の自分はその間の記憶が途切れ、戻ってきたときにはその間に何があったのかを知らない。 多数人格が存在していた場合には、交代して支配してる主人格とは別の人格が、心の中から行動などを見ていることがあるらしい。 けれど、心的外傷が必ずDIDに繋がるわけじゃない。 俺は、なんで宗夜がDIDになったのかを知らない。 幼なじみだけど。 だって宗夜自身自覚してないのに分かるわけないし、表れる人格達は、あいつの中にいるなんてまるでありえないような人格なのだから。 慣れって怖いってのを再確認する。 [←][→] [戻る] |