短編集(~2019) 03 「それでね、それでね、興奮しちゃって、つい五千円分くらい駄菓子買っちゃったの」 「ほう、そらすげぇな」 突っ込むべきか。 ひとつ十円にも満たないものもあるというのに、目の前で平然と駄菓子屋では有り得ない金額を使うそいつ。 けれど俺だって、お菓子は好きだ。 だからこそ二人で駄菓子屋巡りしたりスイーツ食べ放題とか、甘いものばかり食べてる。 「明日、おすそ分けするね!」 きゅるん。 近くで椅子から人間が落ちる音がしたけど、もはやスルーだ。 誰かが直視して卒倒したんだろう。 にっこにこのハナに笑みを浮かべる。 そうだ。 俺は、愛を育むなら、甘党な奴がいい。 なにも気にする事なく甘いものばかり食べて、身体ごと甘く甘くなって死にたい。 そんな俺の将来希望を素直に受け入れるハナが、愛おしくて愛おしくて、甘くどろどろに蕩けてしまいそうなほど愛してる。 [←][→] [戻る] |