短編集(~2019) 嘘と本当は紙一重。さよなら真実。 俺の世界は灰色だ。 白と黒が混ざり合った、中途半端でも確かにそこに存在していて選択出来る色。 けれどそれ以外の色がないからそれしか選択出来ない。けれど事実、世界は華やかだ。 白も黒も赤も青も黄色も緑も、全部の色がそこにはあって。 選択する事もなくただ無意識に色彩を認識して、判断する事もなくそれを見過ごして日常を退屈だと吐き下す。 綺麗だと言うその色は本当に綺麗なのか、俺には分からないけれど。 汚れて、埋もれて、くすんで、朽ちて、繰り返されて再生されて死んでいく。 人間みたいに。 共通することなんてないさ。 そう、そんなことはない。 永遠なんて、そんなものを願う誰かが消えてしまえば永遠も消える。 永遠なんて願えば願うほど、自分という人間が無機質な塊だと認識すら出来なくなって。 そう、繰り返されていく遺伝子を止めるのは吐き気がするほど簡単で。 非生産的な俺らの愛が、形にして見えるその行き止まり。 けれどそんなもの、どうでもいい。 愛してしまったのだから。 なんで愛してしまったのだろう。 でも愛してる。 きっと、同性愛なんて言葉すら知らない他人には理解すら出来ない、その愛情。 ただ人間を愛しているだけなのに。 性別なんていう境界線を作ったのは、しがみついてでも残りたいと思い進化した微生物の意思か。 それとも、それは必然的なものなのか。 言葉は残酷なものでしかない。 人間は残酷なものでしかない。 人類なんてもんは、ただ壊すだけの破壊者にしかなれないのに。 作り出したものはいずれ朽ちて、また再生され壊れる。 廃棄物は蓄積され、いつしか人類も廃棄物になり蓄積されていくだけ。 それでもそんな廃棄物になるような人間を愛した俺もまた、同じ廃棄物。 それならそれで、廃棄物になるまで、甘ったるく生きようか。 [←][→] [戻る] |