短編集(~2019) 現実から逃げ出して、現実にしがみつく。 「お前の考えてる事が分かんねぇよ。なあ、どうしたらいいわけ、俺は」 そういった恋人の顔といったら。 苛立ったような、悲しい顔。 そんな顔をされても何も抱かない俺も、随分と冷ややかだと思った。 愛しているよ。 愛しているんだ。 恋人と喧嘩した。 原因はいつも俺で、俺の思考回路で性格で。 なんで付き合ってるのか、なんて聞かれたら、そんなの、その時好きになったからだと答える。 不本意な事を言うのはいつもの事で。 何がしたいのかなんて、そりゃあ、掴んでいてほしいからだと知っている。 同時に離してほしいと思っている。 寂しさに慣れてしまえば、寂しいと思う事もなくなる。 だけど、愛おしいと思う事に慣れてしまえば、人は人から離れられない。 長期間、もしかしたら死ぬまで、それを合わせる事は出来ない。 一定の距離と、素直な愛情と、率直な態度と気持ちと、蔑む事も下らない、人間にしかない見えない本質を見るのはとても面白い。 歪み、嫉妬、嫌悪、憎悪、愛憎、狂気。 傍観、嘲笑い、砕き壊してまた笑う。 痛みで笑う。 無理矢理出される笑い声は苦痛? それとも心からおかしい? 笑う理由なんか、面白い意外に何がある。 僕は僕である事が、生きていく上での絶対条件。 誰でもと言われれば、しかし首を傾げてしまうのは何故だろうか。 口先、考えばかりは他人中心でも、結局その根元には自分がいなければいけない。 自分がいなければ成り立たない事のはずなのに、自分の事は後回しとか、犠牲とか、僕から見れば偽善者だ。 自分に与えられた、自分だけの世界を他人に差し出すのは、なぜ? 自分がいなければ救えないのに。 自分の事を考えてやれないのは、相手の事を考えてないのと同じだ。 愛しているとも。 ただそれが時折、客観的に見えてしまうだけで。 ------------------------- 基本思考が上記のような恋人くん。 彼氏くんは自己犠牲思考。 続いていくレンアイごっこ。 [←][→] [戻る] |