短編集(~2019) 05 「保健室っ、」 「やっ、ちょ!やばっい、から…!」 じんじんじくじく、物凄い速さで、体が熱に侵されてく感覚がして。 掴まれた腕から、体の隅々、特に下半身に電流が走る。 そう。 盛られ込められたのだ。 媚薬という名の、愛情を。 それに見事にぶち当たった俺は、案の定体を触られるだけで、やばい。 「悪い、我慢しろよ」 「…っは、ま、てまてまて!」 願いは届かず、俵を担ぐように体を担がれて。 クラスの連中が、何事かと注目する中、晃はびくつく俺を担いだまま教室からダッシュ。 その揺れの衝撃が、俺に追い撃ちをかける。 「…ぅあっ、ん、……ふ…っ!」 「…………っ、」 揺れの衝撃が強まる度、我慢出来ずに抑えても漏れだす甘い声。 それを耳元で、直で聞いてる晃の心中なんかもう考えてる余裕なんかない。 晃の耳が赤いのは気のせい。 気のせいにしてやりたい。 もう無理、と思った途端に衝撃がとまり、がらっと勢い良くドアを開く音がして、ふわり、と薬品のにおいに包まれた。 体が浮き上がり、ベッドに寝かされた。 お互いに息が荒くて。 晃の顔が赤くて。 きっと俺の顔も赤くて。 「ああ、もう、バカ」 「うー…」 頭が、真っ白だ。 [←][→] [戻る] |