短編集(~2019) 02 高校生活での一大イベントに限らないバレンタインデー、それに力を入れるのは何も女子だけじゃあない。 貰う側だってそれなりに周りを気にする日でもあるけど、なにせここは男子校。 あげる側の力の入り具合がまた女子とは違う、ある意味デンジャラスな日。 色んな意味を込めて作り上げられる、そのキュートな見た目を裏切るような中身を持ったまるで魔性の女みたいな、食べ物。 机の中、下駄箱の中、手渡し、仲介者を使って、エトセトラ。 渡り方は様々だが、あげる側より貰う側の方が緊張している事など知る由もなく。 命をかけるというよりも、いつの間にか体をかけられているような。 俺は過去に一度、多数集まったチョコレート達の中にひとつだけ、魔性のチョコレートに当たった事がある。 ぶっちゃけそれからチョコレートが嫌いだ。 悪い意味で鳥肌が立つ。 当時チョコレートが嫌いじゃなくてむしろ好きだったものだから、貰ったチョコレートを食べていた時に事件、いや事故が起きた。 [←][→] [戻る] |