短編集(~2019) 04 ざあざあと降り続ける雨。 ごろごろと唸り続ける雷。 あの人を苛立たせる雨も、僕を脅かす雷も、大嫌いだ。 ざり、と音がした気がしたけれど、自分の靴だったのか遠くからなのか分からない。 音を消すように二の腕で耳を押し付けて、ぎゅうっと縮こまる。 いつもこんな日は、二人してベッドに潜り込んでお互いの耳を手で覆って笑ったり。 気を紛らわすみたいにキスしたり。 キスだけじゃ終わらないのはさておき。 ずっとずっとくっついて、くすくす笑って乗り越えて。 苦痛じゃなくなったのに、今日は余計に酷く苦痛で。 ぎゅ、と交差させていた手で服を掴んだ時に。 ばんっと破裂したような音のすぐあとに、今までと比べものにならないくらいの爆音が脳に響いた。 「、ひ…っ」 びくりと肩が揺れて、短い叫びが零れ出た。 深く息を吐いて、顔を上げたら、 -♪ 「…!」 ふわりとした感覚と、聞き慣れた音楽が脳内に響いた。 勢いよく振り返ったそこにいたのは、愛しい人のずぶ濡れな姿。 くすりと微笑む彼の顔に見とれた。 ------------ 雨よりも雷よりも、怖いのは君が居なくなること。 愛は最強伝説。 [←][→] [戻る] |