短編集(~2019) 14 恋は盲目、人をも変えてしまう。恐ろしい現象だ。 会長は本当に、クロスケが好きだったのかな。 人の好みはわからないね。 それから暫く高等部内は混乱していたが、今回の件に関わった生徒すべての処分が決まり執行されると、年末に向かい平行して段々と落ち着いていった。 今期の文化祭も、その他予定していたイベントも中止や延期になってしまったけど、混乱の方が大きくて生徒はあまり気にしていないようだ。 元凶のクロスケは退学、会長や副会長は解任の上に上位クラスから落ち、関わった生徒はその行為のレベル順に、退学や停学、謹慎処分となった。 会長や副会長が退学にならなかったのは、今までの功績と、家からの嘆願もあったおかげだろう。 親衛隊は残ったままだが、ほとんど機能はしてない。無くなったも同然だろう。 でも、会長や副会長など親衛隊を持っていた生徒は、今まで遠巻きにされていたが、今では随分と一般生徒と会話をしたりして、友達のような関係を築けてきているようだ。 支持率高かったもんな。 今までの愚行は消えないが、それでも近づいてくれる人間がいる、という事実は、彼らにとって本当の救いになったのだろう。 その結果も踏まえて、クロスケは結局、最終的に9割には“悪”だが、1割には“善”という位置をあまり変えずに学園から姿を消したわけだ。 まあ、完全な“悪”にならなかったことは、この学園にとって薄皮一枚の良いところかもな。 入学と同時に始まった俺たちの遊びは、まあまあ価値になった。 巧は俺らの遊びの付き添いってとこ。 ただ入学して調査するだけじゃつまらないからと始まった、二人だけの遊び。 これから卒業まで、調査員として意識されるんだろうけど、いい抑止力になるだろう。 学園には教育委員会の調査員が、隠れて自分達の学園生活を見ているっていう事実は、時間が過ぎれば七不思議の一員になりそうな噂に変わりそうだ。 「で、なんで俺らが、あいつらの尻拭いみたいなことしなきゃならないんだ」 「一緒に仕事が出来てうれしい」 「α派出すなーほだされるだろー」 「おい嫁、判子」 「お前それ本気なの?」 「当たり前だろ」 ひとつ気に入らないのは、巧は変わらないが、俺と律は何故か理事長によって生徒会役員にされたことだ。 ふざけんなあの野郎。 しかもなんで俺が会長なんだよ…! END [←][→] [戻る] |