短編集(~2019)
02
照れているのか、不良よ。というかオレの中ではもはやお前は不良ではない。
瀬戸、片想い中の不器用な男だ。
残りの二人、見た目チャラ男な北条と望月は付き合っている事は学校生徒のほとんどが知っている。
望月の見た目があれだし、街中私服で歩いていたら完璧に男女のカップル。違和感はまるでない。
言っておくが、一度本屋前で見かけたことがあっただけだ。断じてストーカーみたいなことはしてない。断じて。
「あー、早く終わんねーかなー」
「こればっかりは無くなる可能性もあるからね」
「平気だろ。あそこあんま人来ねぇし」
「瀬戸ちん、それって店としてやってけんの?」
今すぐに飛び出して行きそうな雰囲気だが、それほど気になっているのか。
というか一週間過ぎて目にしてないってどんだけ売れてんだ、その新発売スイーツ。気になってきた。
ふいに視線を四人から外し、後方の出入り口側に目を向ければ、相変わらず囲まれている男子生徒がひとり。
こちらも美形。転校生で美形。どこの漫画だ、と初見した際に心中ツッコミまくったのはある意味癖だ。
物腰やわらかそうな、癖のある長髪が似合う美形。男子生徒ばっか美形。いや女子にも可愛い生徒はいるが、こいつらが悪目立ちすぎて基準がズレてる気がする。
「霧島くんの好きなタイプって、どんな人なのー?」
「歳上?それとも下だったりして?」
「…いや、好きになった人だよ」
控えめな笑みに勝手に盛り上がる女子。どこに盛り上がり点があるのか分からない所で、ボリュームが上がるから女子って理解出来ない。
「…、ごめん用があるから」
「今度遊ぼうね!」
「機会があれば、ね」
「ゼッタイだよー」
あれが逆ナンみたいな感じなんだろうか。生きてるうちに一度はされてみたいよな、逆ナン。
くそ羨ましい。
教室から出ていく霧島を陰ながら見送り、次の授業には帰ってこないだろうなと見当をつけた。
「……美人は三日で飽きる、か」
チャイムの音を聞きながら呟く。
今の所、美形は見飽きない。なんせこのクラス以外にまだ美形がいるのだから。
くそ羨ましい。
END
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第3者が見る美形は、三日経っても飽きない。
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