3
部屋は簡素なものだった。
必要最低限の物しかない感じ。
ついキョロキョロと見回してしまう。
入って右にドアが一つ、左に一つ。
真っ直ぐ行くとリビング。
リビングの左にはオープンキッチン。
リビングの右には扉が二つある。
この二つの扉がプライベートルームか?
「これ、どっちかお前の部屋?」
「俺の部屋は左」
こちらを見ずにそう言って自室に戻ろうとする。
…やっぱ態度悪すぎる。
一言言ってやる!
「おい、狭山慎!」
「…なんだよ」
無表情で狭山慎が振り向く。
「初対面で感じ悪かったのは謝る。でもなあ、お前の態度もどうかと思うぞ。今日から同じ部屋で暮らすんだから、俺はお前と仲良くしたい。お前はどうなんだ!」
言いたい事を言ってビシィッと指を指す。
そして改めて狭山慎の顔を見てみると、驚いたような、パチクリって顔をしていた。
どうしたんだ?
俺、なんか変な事言った…?
ちょっと不安になりながら相手の言葉を待つ。
すると狭山慎は、少し言うのを躊躇うかのような仕草をして言葉を発した。
「お前は、…俺が怖くないのか?」
「…………………は?」
今度は俺の方がパチクリさせる番だった。
何言ってんだこいつ?
暗い緑の髪に濃い茶色の目。
目付きは悪くて、一目見たら絶対不良だと思うだろう。
顔は整ってて美形だけど。
他の人から見たら怖いだろうな。
でも、俺がこの間まで何処にいたと思ってんだよ。No.1のチームだぜ?こいつより怖い顔の人達たくさんいたし。
つーわけで怖くない。
…なんて正直に理由までは言えないけど。
おっと、答えなきゃ。
狭山の眉間に皺が寄り始めてる。
「別に怖くねぇよ。つーかなんで俺がお前を怖がらなきゃいけないんだよ。
そりゃ確かにお前目付きは悪いけど、それ位で物怖じする俺ではない!」
腰に両手を当ててそう宣言する。
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