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これで最後





「おい、お前ら俺の事忘れてるだろ」

少し呆れたような或榎の声で俺は此処に来た目的を思い出した。



「忘れてないって。或榎、今日は大事な話があって此処に来たんだ」

「…?」





「そこに座ってでいい、聞いてくれ。


…………俺





チーム抜ける」


或榎と黒狼の眉間に皺が寄った。



「おい、どういう事だよ夜桜」

「黒狼、お前は黙っとけ。

なあ夜桜、何故だ?


何かあったか?」



こう聞いてると或榎は大人だなあ、って思える。傍らにいるコイツとは比べ物にならないな(笑)
常に冷静で、いつも総長である俺を支えてくれた副総長。





「俺な、ある学校に行く事にしたんだ。それが、外部から極力切り離された所で、チームに顔出せなくなるんだよ。来れたとしても月に一回。これじゃあ総長やってちゃダメだと思ったんだ」

少しの沈黙

「…そうか。でも、それだったら、俺はどうだ?俺だってそんなに来てないけど副やってるじゃないか」

「う…ん、それはそうだけど……。でもやっぱ俺は総長だし、何かあった時すぐ駆けつけられるようにしとかなきゃダメだろ?」

すると横から

「俺だって月一程しかチームに顔出してないぜ?下手すりゃそれも行かねえし」

「お前それはチームの奴等可哀想じゃねぇ!?こんな所いないで顔出してやれよ……」

呆れた奴だな…。



「こんな所なんて心外だぜー。俺はお前に会いにわざわざ出て来てるんだぞ?もっと嬉しそうにしろよ」

………ナルシストがいるー。
みんながみんな、そう言われれば喜ぶと思うな。

「俺は男なんだからそんな事言われても嬉しくない。女に言え、女に。
っと、お前のせいで話がズレたじゃねぇかっ!

或榎。という事で、今日を最後に俺は顔出さないから。ごめんけどチームの奴等にはお前から言っといて!!」

パンッと顔の前で手を合わせてよろしく、と一言言い捨てて俺は入口へ走って逃げた。





後ろから二人の声がした、っていうか今もまだ聞こえるけど無視して


「水葵、春蘭、俺先に帰るなーっ!!」

座って飲んでた二人に声をかけ、
「詠斗さん!さようなら!!」

お別れの挨拶をして、外に停めてたバイクにまたがり家に帰った。




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