07.不器用にも程がある
「……………」
「………………」×7
―現在、今までにない沈黙がオフィスを包んでいる。
「か、カメ?」
命知らずの坊主が口を開いた。
「…………………」
ヒヤリとした冷気が黒の青年から漂ってきている。
「ぼ、ぼーさん!」
焦りを含んだ麻衣の声。
「…………」
黒衣の青年―ナル―は、無言でソファから立ち上がると、所長室に引っ込んだ。
「ナ、ナル!」
ぱたん。
追いかけてきた麻衣の声は、無情にも扉に跳ね返された。
「……ぼーさん」
「う……悪かったって」
まさかナルがごにょごにょ。と、見苦しい言い訳をする。
―だって、ナルが鶴折れないって、思わなかったんだもん。――――と。
鶴を何故折ることになった云々は置いといて。
それは彼のプライドを見事に打ち砕いたらしい。
数日後、完璧な鶴がオフィスにそれとなく置いてあったとかなかったとか。
鶴折れない=不器用ってことで。
完
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!