colorful story
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芸能事務所LEM。
「じゃあ俺は他の仕事あるからあとは1人で行け」
『うん!ありがと拓磨さん!』
拓磨の車から降りた紗羅は走っていた。
『(お父さん、もう初スタンプ貰ったなんて言ったら驚くかなぁ!)』
期待に胸を膨らませて、
全速力で走っていた。
ずるっ!!!
『うそっ……!?』
ゴンッ!
そのため、曲がり角を曲がった瞬間に恐ろしく滑った床にも対応することができずに見事に転んで頭を打った。
『いっ……たーー……』
なんで床が滑るんだ!
「大丈夫ですか?!」
『痛い』
紗羅が頭を抑えながら振り向くと見慣れた目に痛いピンクが視界に飛び込んできた。
ちなみに、今は薫なので正直に答えてます。だって痛いもの!
『(ラブミー部のツナギ…?)』
「あーーーー!!」
『あ!』
「『こないだの!』」
『最上さんだっけ?』
「なんでアンタがここにいるのよ?!」
露骨に嫌そうな顔をするキョーコ。
なんで?こないだそんな嫌なイメージだったのかなあたし。いや、薫。
『なんでだと思う?』
紗羅はにやっと笑って立ち上がった。
「ま、まさか…!」
その行動にキョーコは顔色を悪くする。
『愛される仕事とやら、一緒に頑張りましょーか』
「っ!!嫌ぁーー!!」
にっこりしながらツナギを見せびらかす紗羅に、キョーコは再び悲鳴を上げた。
『松内瑠璃子ちゃん主演の映画の撮影?』
「ああ。まあ、お前は蓮の補助だけどな」
社長室に着いた紗羅が宝田から言われたのは薫への依頼だった。
内容は、松内瑠璃子が主演のドラマでの蓮のサポートらしい。
『敦賀さんには社さんがついてるよ?あたし必要ある?』
「まあそうなんだが蓮には薫の正体をバラそうと思ってな。知り合いに協力者がいた方がやりやすいだろ?」
『なるほど!』
お父さんはよく考えているね!と紗羅が興奮しながら言おうとしたがそのまま宝田は楽しそうに言った。
「それに…バラした時の蓮の顔が見てみたいしな!」
『そっちが本音か…』
「あと最上君にとっては大事な初仕事だ。大丈夫だとは思うが裏からサポートしてやってほしい」
『それは構わないけど…』
笑顔で言う宝田にキョーコの嫌そうな顔が目に浮かんできて紗羅は苦笑した。
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