「Sono a casa!」 流暢なイタリア語がスイートルームの玄関先に響き渡る。 その発声元――部屋の主ディーノは、応答の無い部屋に微妙な寂しさを覚えつつ奥へと進んだ。 まあ、いつものことなのだが。 「ただいまー」 今度は日本語でリベンジをかける。 すると、 「おかえり」 ・・・明日は雪かもしれない。 「珍しいな、恭弥が俺より早く帰ってるなんて」 いつもは帰りがけに迎えに行くのだが。 それだけ仕事が捗っているのかーと喜ぶべきか、授業に出ろ!と戒めるべきか。 どちらにせよ雲雀が改めたりしないというけとぐらいディーノは理解していたので、言わない。 しかしまたもおかしなコトが起きた。 「ディーノ、」 「ん?」 ちゅ 「?!」 小さなリップ音をたてて仕掛けられたキス。 いきなりのことに驚き見つめると、真っ黒な澄んだ瞳で見返される。 (・・・あぁ) 何となく雲雀の気持ちをそれとなく察したディーノは、彼の隣に無言で腰掛ける。 するとそれを待っていたと言わんばかりにすかさず雲雀の小さな頭がディーノの肩に寄り添った。 1人だった ずっとずっと、1人だった でもそれをオカシイとは思っていなかった。 1人は当たり前だと、思っていた。 そんな僕を太陽な眩しさとウザったさで、だけど優しく何もかもを受け入れてくれた。 好き とか 愛してる とか 今更言えない けど・・・ [*前へ][次へ#] [戻る] |