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トラブルメーカー
2



黒板へ貼られた席次表にならって、尚は窓側から2列目の最後尾へと着席した。


隣の席には既に座っている生徒がおり、窓の外を眺めている。


茶髪に染められた髪はワックスでオシャレにセットされており、右耳にシルバーのピアスが3個くらいついているので、なんだか不良っぽい雰囲気だ。




「ちょっといい」




窓側の彼をみていた尚は、ふいに声をかけられ前向くと、机の前に昨日和田へラブコールを送っていた八重歯の可愛い男が立っていた。



「あ、きみは…」


「あんたさ、雅樹とどういう関係?」



千葉小太郎は、尚の言葉を遮るように言う。
くりくりとした瞳からは、憎悪の念が隠そうともせずに溢れ出していた。



尚はそんな小太郎に億した様子もなく目をそらさずに、じっと見つめ返した。



「小学生の頃に同じ学校だったんだ。ただそれだけだよ」




「だって、昨日…!」



「和田君とはそれ以上は何もないよ」


昨日尚は和田に付き合っている事にした方が都合がいいと言われたが、尚には男性と付き合うという概念がないためそれを否定した。


じっと目を離さない尚に、小太郎は更に顔を顰める。





「だったら雅樹に近づくな!」



今にも掴みかかろうとする小太郎をどうしようか、と冷静に尚が考えていると、隣の席からチッ、と舌打ちが聞こえた。



「ピーピーうるせぇな。うせろ」



隣の席に座る彼から、鋭い真っ黒な瞳で睨みあげられた小太郎は、不機嫌そうに顔を歪めた。


「なんだよ、おまえみたいなクズに言われたくないよ」



小太郎はフン、と顔を背けて自分の席へと戻っていった。



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