狐の嫁入り
8
「よ・・・め・・・?」
俺が驚いて勢いよく立ち上がると、銀が俺の脇に
手を差し込んで、ひょいと持ち上げた
「危ない、ここは風呂だ怪我をするぞ」
そう言って今度は俺を抱きかかえた
いわゆる・・・お、お姫様抱っこに・・・しかも裸!
「あの・・・降ろして」
「なぜ?」
「は、恥ずかしいから・・・」
「そうか?大丈夫だ。ここには俺とお前しかいない」
銀は俺を降ろさずにスタスタと歩き始めた
確かに周りに人はいない・・・けど・・・っ
「くしゅっ!!」
さ、寒い・・・裸のままとか、寒すぎる・・・
俺の体が震えていることに気がついたらしい銀が
すまない、と言って尻尾を俺に被せた
「・・・暖かい」
フワッフワだ・・・あ、この感じ・・・
「懐かしい、な」
銀がポツリと呟いた
「銀も?俺も今そう思ったんだ。昔もこんなこと
あったような気がして」
「覚えてない・・・か、12年前も、こうしてお前を
温めてやったことがある」
やっぱりそうなのか
銀と会ったのは、夢じゃ無いんだ・・・
「着いたぞ」
そう言うと銀は歩くのを止めた
ギィィという音と共に目の前にあった扉が開いた
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