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狐の嫁入り


キョロキョロと辺りを見回すが誰もいない

「・・・何?」
「来たわ・・・和くん、鳥居をくぐりなさい」
「ぇ?お祖母ちゃんは?」

そう聞くと、お祖母ちゃんは眉を下げた

「私は行けないの・・・中に入れば、あの人が和くんを待ってる・・・「約束の日」だから・・・」
「約束・・・?」

お祖母ちゃんの言っていることが分からない
約束って、何・・・?

「行けばきっと思い出すわ。本当は行かせたくな
いけれど・・・約束だし・・・それに、村の為なのよ」

ごめんなさい。と、お祖母ちゃんは握った拳を
震わせて泣いていた
どうして泣いてるの?

「泣かないで・・・」
「ごめんね、和くん・・・」

俺はまだ何のことかよくわかんないけど
お祖母ちゃんが泣くなんて、よっぽどのことだ
・・・俺、死ぬとか?・・・でも、

「お祖母ちゃん、俺は大丈夫!絶対戻ってくる
・・・だからさ」
「和くん・・・」
「待ってて」

安心させるように、微笑んだ俺をみて、
お祖母ちゃんは余計に辛そうな顔を一瞬したけど
すぐに笑ってくれた

「約束ね、和くん」
「うん!」

俺は一人鳥居をくぐった


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