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狐の嫁入り


その夜、俺は小さいときの夢を見た
裏にあるうちの神社の境内で、俺は誰かと話して
いた。
そうだ・・・この時は確か、裏山で迷子になってい
た俺を、誰かが神社まで連れてきてくれたんだ

***

『お兄さんだぁれ?』
『俺は名前が無いんだ。君は?』

そう言いながらお兄さんは、俺を膝の上に乗せた
お兄さんの銀色の長い髪が俺の頬をかすめた

『俺はかずや、吉野和也だよ!』
『そう、和也はどうしてここに?』
『そこの下が、お祖母ちゃんの家なの。夏休みは遊びに来てるんだー』
『へぇ・・・和也は俺が怖くないのかい?』

俺は人間ではないんだよ
そう、その人は言った。

『何で?お兄さんキレイだよ』
『ありがとう。そんなことを言われたのは初めてだよ。和也は優しいね』
『そ?ねぇ、お兄さん名前がないなら、僕がつけてもいい?』
『いいよ』
『じゃあね、**』
『いい名前だ。気に入った』
『ふふ、良かった〜』
『ありがとう』

そう言ってその人は俺の頭をなでた
相手の顔は思い出せないけど・・・・
この暖かくて大きい手が心地良くて
夢の中の俺は大人しく撫でられている

『和也は・・・将来誰と結婚するの?』
『けっこん?』
『結ばれる、ということだよ。ずーっと一緒にいるということだ』
『お兄さんは、誰とけっこんしたの?』
『してないよ、俺は独りなんだ』

お兄さんが俺をさっきよりも強く抱きしめた

『ふーん・・・じゃあ僕***とけっこんする!』
『いいのかい?』
『うん!そしたら、お兄さん寂しくないでしょう
?』

俺がそう言うと、その人は確かとても嬉しそうに
笑ったんだ
そして俺にこう言った

『君が大人になったら、結婚しよう?』
『うん!』
『約束だよ、必ず』

そうだ、俺この人と約束したんだ・・・・
・・・でも、夢、だよね?それとも・・・・・・・・・・





『和也が18になったら、迎えにいくよ』



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