龍と花
店内
「人がいるなんて思わなくて、立てる?」
スッと手を差し出され、甘んじてそれを掴み立ち上がる
ふと、顔を覗き込まれて一歩引くと、お兄さんはニコリと笑ってお店のドアを開けなおした
「赤くなってる、お詫びに奢るよ。どうぞ」
「いや、あの、いいです。人が待っているので・・・」
「少しくらいなら大丈夫でしょ」
そう言うとお兄さんは俺の手を引っ張って、スタスタとお店の中に入ってしまった
勿論、手を掴まれているのだから俺も一緒に、だ
中に入ると思っていたよりも広くて、オシャレな感じなお店だった
「ほぇ・・・」
ボケーっと店内を見回していた俺を黒いソファに座らせると、お兄さんがやっと手を離してくれた
「すぐ作るから、待ってて」
「え、や、あの」
「いーから」
俺が言い切る前にお兄さんはひらひらと手を振りながらカウンターの奥に入って行ってしまった
[*過去][未来#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!