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龍と花
6年の片思い
〜龍也side〜

「くくっ」

家の中に慌てて入っていく背中を見つめて笑う

「あまり苛められては、逃げられてしまいますよ」

車の運転席から出てきた男が俺の隣に来た
肩までの紺色の髪をした、俺の部下の松下だ

「逃がさねーよ、それにもう、楓も俺から離れられねーさ」
「ふふ、そうかもしれませんね」

松下は口に手を当てて静かに笑った

「6年目にしてようやく手に入れてたんだ・・・もう、誰にも渡す気ねーよ」
「そうですね・・・まさか本当に若の思い人が見つかるとは思いませんでした」
「俺に出来ないことはねえ」

そう睨み付けると、クスクスと笑われた

「さすが若」
「お前は相変わらずだな」

上司に対してその態度・・・昔から変わらない

「・・・あの時の子ですか」
「・・・あぁ」
「良かったですね」
「まぁな」

ふふっと笑う松下を無視して、二本目の煙草を口にくわえる

「あ、出てきましたよ」

松下に言われてそちらを向くと、荷物を脇に抱えた楓がカギを閉めているところだった

「それでは、失礼いたします」

ぺこりと頭を下げて松下は運転席に戻って行った

「6年・・・か」

そう、6年越しの片思いがようやく叶ったんだ
今でも忘れない、初めて楓に出会ったあの夜のこと・・・
まぁ、お前はあの時のこと・・・覚えていないんだろうがな・・・


[*過去][未来#]

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あきゅろす。
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