龍と花
我が家
「ぁ・・・」
目の前には、昨日まで普通に住んでいた我が家があった
玄関の前で立っていた龍也に駆け寄る
「楓、荷物を纏めろ」
「ぇ・・・?なんで」
「明日からは、俺の家で暮らせ」
「は!?どうして・・・」
俺は突然の話に吃驚して龍也を見る
龍也は当然だとでも言うように眉一つ動かさないで俺を見下ろしていた
「お前はもう、俺達裏の人間と関わってしまった。いつ他の組の奴等に狙われるか分からない・・・俺といた方がいい」
「・・・で、も」
この家から出て行く・・・?
もういない家族との唯一の思い出の場所
考え込んでいると、龍也が俺の頭をそっと撫でた
「お前のことは調べたと言っただろう・・・今まで弟と二人で守って来たんだろう?」
「は、い」
「だがお前の弟は家を出た。・・・・・・・だがな」
龍也に顎をとられ上を向かされる
「お前はもう、一人ではない」
「で、も・・・俺が出て行ったら・・・アイツが、戻って来れなくなる・・・」
「別に家を売るわけじゃないだろ。なんなら俺がこの家を買おう」
龍也の言葉に目を見開く
「出来・・ ・るの?」
「あぁ、俺を誰だと思ってる」
ニヤリと笑った龍也はとてもかっこよかった
この家を守っていける、俺がここを出て行けば・・・
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